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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4 部長大原浩一
80 8月2日土曜日午前8時15分
「黒い女はもう終わり…」
昨夜、美冴はそう云っていたが、正にそのようであった。
彼女は本当に生まれ変わったのかもしれない。
そう思いながら時間を知る意味で、携帯電話の画面の確認をした。
8月2日土曜日午前8時15分…
5日連チャンの朝の着信はなかった。
なんとなく、今朝は勘の鋭いゆかりからの着信があるような気が心のどこかにあったのだが着信はなかった、それにホッとしたのと、そしてなんとなくだが少しだけ残念な気持ちがあったのだ。
そんな想いと共に意識もはっきりと覚醒してくると、私には再び罪悪感が心を重く覆ってきていた。
携帯電話をベッドサイドに置く。
すると
「モーニングコールはなかったんですね…」
突然、美冴はそう言ってきたのだ。
「えっ、何を」
「いえ、何か画面を見て少し残念そうだったから…つい」
「いや、そんなことは…」
「佐々木ゆかり課長からは毎朝コールあるんですか」
「えっ…」
ここにも勘の鋭い女がいたのである。
私は一気に動揺してしまう。
「な、なぜ…」
「それは…お二人を見ていればわかりますよ…」
どうして私の周りにはこうも勘の良い女ばかりがいるのだろうか…
私とゆかりは普段から関係がバレぬように細心の注意を払っていて、社内ではもちろん、普段の会話でも、二人切りの会話でも、私の事を部長と呼んでいるくらいなのに、普通の一派遣社員の美冴にバレていたのだ。
「あ、大丈夫ですよ、この事はわたししか知らない筈ですから、他の周りのスタッフ達は全く知らないですし、多分、想像すらしていない筈ですから、安心してくださいませ…」
美冴はそう明るく言ったのである。
「そ、そうなのか…」
「はい…」
美冴は明るい、和やかな笑顔で頷いたのだ。
「それに安心してください、わたしは昨夜の部長との事は佐々木課長には言いませんし、言うつもりも毛頭ありませんから…」
「あ、い、いや、それは…」
急に現実的な部分を突かれたので一瞬狼狽えてしまった。
だが、懸念していた一つの心配事が無くなったことも事実ではあったのだ。
「そ、そうか、そ、それより昨夜の…」
私は昨夜のダメ押し的なシャワールームの事を謝った。
「わたしは嬉しかったんです…」
「えっ」
予想外の言葉であった…
「黒い女はもう終わり…」
昨夜、美冴はそう云っていたが、正にそのようであった。
彼女は本当に生まれ変わったのかもしれない。
そう思いながら時間を知る意味で、携帯電話の画面の確認をした。
8月2日土曜日午前8時15分…
5日連チャンの朝の着信はなかった。
なんとなく、今朝は勘の鋭いゆかりからの着信があるような気が心のどこかにあったのだが着信はなかった、それにホッとしたのと、そしてなんとなくだが少しだけ残念な気持ちがあったのだ。
そんな想いと共に意識もはっきりと覚醒してくると、私には再び罪悪感が心を重く覆ってきていた。
携帯電話をベッドサイドに置く。
すると
「モーニングコールはなかったんですね…」
突然、美冴はそう言ってきたのだ。
「えっ、何を」
「いえ、何か画面を見て少し残念そうだったから…つい」
「いや、そんなことは…」
「佐々木ゆかり課長からは毎朝コールあるんですか」
「えっ…」
ここにも勘の鋭い女がいたのである。
私は一気に動揺してしまう。
「な、なぜ…」
「それは…お二人を見ていればわかりますよ…」
どうして私の周りにはこうも勘の良い女ばかりがいるのだろうか…
私とゆかりは普段から関係がバレぬように細心の注意を払っていて、社内ではもちろん、普段の会話でも、二人切りの会話でも、私の事を部長と呼んでいるくらいなのに、普通の一派遣社員の美冴にバレていたのだ。
「あ、大丈夫ですよ、この事はわたししか知らない筈ですから、他の周りのスタッフ達は全く知らないですし、多分、想像すらしていない筈ですから、安心してくださいませ…」
美冴はそう明るく言ったのである。
「そ、そうなのか…」
「はい…」
美冴は明るい、和やかな笑顔で頷いたのだ。
「それに安心してください、わたしは昨夜の部長との事は佐々木課長には言いませんし、言うつもりも毛頭ありませんから…」
「あ、い、いや、それは…」
急に現実的な部分を突かれたので一瞬狼狽えてしまった。
だが、懸念していた一つの心配事が無くなったことも事実ではあったのだ。
「そ、そうか、そ、それより昨夜の…」
私は昨夜のダメ押し的なシャワールームの事を謝った。
「わたしは嬉しかったんです…」
「えっ」
予想外の言葉であった…