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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4 部長大原浩一
88 刺した釘
「黒い女を卒業するんだから、新事業を一緒にやらないか」
それは悪い話しではなかった。
そうか、まずは足元を固めなくては…
「そうですねぇ、考えを変えなくちゃですよねぇ…」
「そうだよ、まだまだ人材が足らないんだよ、美冴くんのキャリアならすぐにでも順応できるはずなんだから一緒にやろう…」
「はい、前向きに考えますね…」
「うん、それがいい」
部長は和やかにそう呟いた。
「あっ、そうだ、それよりわたし、部長の秘書になろうかしら、なりたいなぁ…」
「あっ、い、いや、そ、それは…」
途端に部長は狼狽えた。
わたしが部長の秘書になるという事を、それだけは絶対に、ゆかり課長が許す筈が無いのである。
その前に、わたしを秘書にする、という話しをした時点で、ゆかり課長は疑惑の目を部長に向ける筈なのである、その事は部長自身が一番よくわかっている筈だから、慌てて狼狽えたのだ。
わたしは余りにも急に部長の機嫌がよくなってきたから、少しばかり釘を刺してやったのである。
「ま、それは冗談です…」
「う、うん…」
釘は十分に効いたようであった。
「でも本当に少し色々考えてみますね」
「あ、そうだ、確か本当なら一昨日の木曜日にまた面談するつもりだったみたいだぞ…」
確か木曜日はあの日だ、電車で具合が悪くなり、この復活のきっかけになった日なのである。
「そうなんですか」
「うん、なんか笠原主任の推薦らしい」
笠原主任さんか…
彼女は何かとわたしを気にしてくれる人なのだ。
わたしの変身、一番よく喜んでくれそうだなぁ…
「じゃあ、月曜日までに気持ちの整理をしとかないと…」
その前に、これからちゃんとゆかり課長に相対出来るのだろうか、それが少し心配ではあった。
彼女は絶妙に勘が良さそうだから、ちゃんと心の準備と整理をしておかなくてはいけないかな…
わたしはそう考えていた。
「美冴くん宅はどの辺りなんだ」
「駒沢大学の近くなんです…」
「そうなのか、意外に近くだったんだなぁ」
「そうみたいですね…」
そしてわたし達は名残惜しいのだが、別れて帰途に向かうのである。
よし、まずは美容室だ、服も買いたいなぁ…
明日からの自分を想像し、心が弾んできていたのであった。
本当にわたしはようやく心が解放できたのだ…
「黒い女を卒業するんだから、新事業を一緒にやらないか」
それは悪い話しではなかった。
そうか、まずは足元を固めなくては…
「そうですねぇ、考えを変えなくちゃですよねぇ…」
「そうだよ、まだまだ人材が足らないんだよ、美冴くんのキャリアならすぐにでも順応できるはずなんだから一緒にやろう…」
「はい、前向きに考えますね…」
「うん、それがいい」
部長は和やかにそう呟いた。
「あっ、そうだ、それよりわたし、部長の秘書になろうかしら、なりたいなぁ…」
「あっ、い、いや、そ、それは…」
途端に部長は狼狽えた。
わたしが部長の秘書になるという事を、それだけは絶対に、ゆかり課長が許す筈が無いのである。
その前に、わたしを秘書にする、という話しをした時点で、ゆかり課長は疑惑の目を部長に向ける筈なのである、その事は部長自身が一番よくわかっている筈だから、慌てて狼狽えたのだ。
わたしは余りにも急に部長の機嫌がよくなってきたから、少しばかり釘を刺してやったのである。
「ま、それは冗談です…」
「う、うん…」
釘は十分に効いたようであった。
「でも本当に少し色々考えてみますね」
「あ、そうだ、確か本当なら一昨日の木曜日にまた面談するつもりだったみたいだぞ…」
確か木曜日はあの日だ、電車で具合が悪くなり、この復活のきっかけになった日なのである。
「そうなんですか」
「うん、なんか笠原主任の推薦らしい」
笠原主任さんか…
彼女は何かとわたしを気にしてくれる人なのだ。
わたしの変身、一番よく喜んでくれそうだなぁ…
「じゃあ、月曜日までに気持ちの整理をしとかないと…」
その前に、これからちゃんとゆかり課長に相対出来るのだろうか、それが少し心配ではあった。
彼女は絶妙に勘が良さそうだから、ちゃんと心の準備と整理をしておかなくてはいけないかな…
わたしはそう考えていた。
「美冴くん宅はどの辺りなんだ」
「駒沢大学の近くなんです…」
「そうなのか、意外に近くだったんだなぁ」
「そうみたいですね…」
そしてわたし達は名残惜しいのだが、別れて帰途に向かうのである。
よし、まずは美容室だ、服も買いたいなぁ…
明日からの自分を想像し、心が弾んできていたのであった。
本当にわたしはようやく心が解放できたのだ…