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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4     部長大原浩一
 90 薄れていく罪悪感

 シャワーを浴びている最中に再び、あの昨夜のシャワールームでの美冴との逢瀬が脳裏に蘇り、その想いと共に罪悪感が再び胸に湧き起こってきたのである。
 それは蒼井美冴という新たな存在にすっかり心までも惹かれている自分への戒めの為に現れた罪悪感なのかもしれない。
 そしてもう一度、自分の胸の騒つきの想いを確認してみる。

 なんだろう、この感覚は、そうだ…
 そうだ、遙か昔の、中学時代の初恋の騒つく感覚に似ているのだ。

 ま、今だけだろう、今だけさ、さっき別れたばかりなのだから余韻が残っているだけさ…
 それに何度心の中で確認しても、ゆかりに対しての愛情は変わらないのである。

 この想いもそうだ、美冴の想い自体だって、数日過ぎたら向こうから避けるかもしれないし…
 そうである、美冴自身にとっては昨夜の事は2年振りの突然の逢瀬なのだ、その余韻のせいでさっきまでは舞い上がっていただけで、また月曜日を迎え新たな自分として仕事を数日こなしたらすっかり気持ちが変わるかもしれない筈なのだ。
 その時に会ってももう醒めている可能性の方が高い筈である。
 なぜだか時間が経ったせいなのか、心なしか罪悪感も少し薄れているようであった。

 そうかもしれないなぁ、所詮、男なんかそんなモノなんだ…
 薄れている罪悪感に自分で言い訳をする、だが、確かにそうなのである、してしまった事は何をどう言っても変えられないし、仕方ないのだ、大切なのはこれからのことなのである。

 じゃあ、これからどうするのか、バレない様に3人と上手くやっていくのか、それともゆかり1人に絞るのか、それとも律子にするのか、美冴にするのか…
 また再び悪魔の本性が囁きかけてきたのだ。

 バレない様にやっていくなんて、絶対に無理だ、しかも3人が3人共に絶妙に勘が鋭いのだ、かといって…
 いくら悪魔の本性の囁きだろうとこの現実はどうしようもなかった。
 そしてそもそも私は比較的楽観主義者なのである、どちらかといえば
 もうなるようになるさ…
 と、最終的にはそう開き直る傾向があった、そして今日もまた、考えに行き詰まり、結局
 なるようになるさ…
 の開き直りの結論を出したのである。
  
 そんな事をシャワー上がりのビールを飲みながら逡巡をしていると、いつの間にか午睡してしまっていた…






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