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シャイニーストッキング
第5章 黒いストッキングの女4     部長大原浩一
 96 ダックの目

 昼間の罪悪感など、どこかに置いてきてしまったようであったのだ。

 そうか、夢の国に置き忘れてしまったのだ…

 律子の唇を受け入れながら、私はそう心の中で呟いていた。

 私達はキスをし、抱き合いながらベッドへと倒れ込んでいく。
 抱いていたダックの大きなぬいぐるみは、偶然にも一緒にベッドの上に転がり、私と視線を合わせるかのようにこっちを向いて横にきた。
 そしてキスをしながら律子を抱き締め、ショートカットのうなじに手を回し、ふと目を開くとダックが私を見ていたのである。

 お前はどうしようもない男だな…
 そのダックの目がそう語り掛けてきた。

 自分を抑えることもできないクソ野郎だな…
 そのダックの大きな目が、そう私を卑下するように見つめてくるのだ。

 二兎どころか三兎じゃないか、三兎を追うつもりなのか…
 ダックのその目はそんな私の心を写して、そう語り掛けてくるのである。

「そうだよな…」
 私はキスしていた唇をつい離してしまい、思わずそう声に出して呟いてしまった。

「えっ…」
 さすがに律子は理知的で勘のよい女であった、そんな私の呟きの意味を一瞬で理解したようで、そしてすかさず反応をしてきたのだ。

「そんな…いいの…」
 そう囁きながら、私の頭を逃がすまいと両手で押さえ、再びキスをしてくる。

「そんないいんです…あまり考えないで…」
 そして私の舌を吸ってきた。
 律子の想いがその舌の絡まり具合によって私の中に流れ込み、そう伝わってくるようであったのだ。

 あまり難しく考えないで、気楽にわたしを抱いてくれればいいの…
 そのキスがそう心に囁いてくる。
 しかしダックはそんな律子の後ろから、まだ私をじっと見ていた、そしてその目はまるで私を卑下するような目といえたのだ。

 すると律子はそんな私の気配を感じ
「そうだ、夢の国で沢山汗かいちゃったからシャワー浴びましょうよ」
 そう気を利かせてそう言ってきた。

「そうだな、確かに汗でベタベタだ…」
 いくら夜とはいえ、この蒸し暑さで沢山汗をかいてしまっていたのである。

「そうでしょう、シャワーしましょうよ」
「そうするか、おじさんが汗臭いのはシャレにならないからな…」
「もお、そんなおじさんなんて言ってぇ」

 さすが律子の機転である、少し雰囲気が変わった…



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