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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 9 ネタ明かし

 杉山くんが取ってきたこの驚く程にここまで進んでいる企画を、無くす事なんて出来やしない。

 プラスになる事案は全てゆかりの一任で進めて裁量して構わないぞ、ケツ持ちはちゃんとするからさ…
 わたしは以前に、大原部長にそう言い渡されていたのだ。
 その部長の言葉を脳裏に浮かべ、もう一度この企画書を熟読していく。

「本当に1人でここまで…」
 再び尋ねる。

「ネタ明かしますよ…」
 杉山くんはにこやかに話してきた。
 実は父親がお台場にある某テレビ局の報道部のお偉いさんなのだそうだ、そしてこれは父親から来た話しだそうだ。
 今まではテレビ局内の仕切りでアルバイト等を使って電話アンケート等をしていたのだが、もうそんな時代でないと、外注をしようという話しから杉山くんに回ってきたそうである、そして他の2社のテレビ局も父親からの口効きの影響が半分以上はあるのだ、と、少し照れ臭そうに話してきたのだ。

「そんな経緯は関係ないわよ、要は結果よ、営業に必要なのは結果、結果が全てなの」
「は、はいっ」
 わたしがそう言うと杉山くんは嬉しそうに微笑んだ。
 
「それで非常に急なんですが…」
 先方のテレビ局は大至急にこの話しをまとめて契約したいのだ、と言ってきたのだ。

「なんか、どうやら11月に総選挙がありそうなんで急ぎたいらしいんです…」
「うーん、ホント随分に急だねぇ」
「ダメなら他に当たるまで…」
「もう話し聞いちゃったからそれはダメよ、絶対に他には回させないわ」
 わたしは即断を決意する、この企画にマイナスはない、部長も後付けでも文句は言うまい。
「わかった、じゃあ、どんどん進めましょう、裏はわたしが固めますから…」
「うわぁ、マジっすか」
「うん、マジっす」
 わたしも真似てみる。
 するとタクシーは目的の損保会社に到着した。

「まずはここをサクッと片付けちゃいましょう」
 わたし達はこの損保会社の玄関に入って行く。


「わざわざ佐々木課長に来ていただいて、却って申し訳ありません…」
 先方の今回のクレーム案件の担当者がそう言ってきた。

「いえこちらこそ本当に申し訳ありませんでした」
 わたし達は深々と頭を下げた。

「とりあえずお座り下さい」
 そう勧められ着席をし、今回の経緯と今後の話しをし、僅か30分程で謝罪は終わったのだ。







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