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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 10 セクハラの目付き

 僅か30分程で謝罪は終わった。

「じゃあ今後もまた変わりなくよろしくお願いします」
 再び深々と頭を下げ、退室した。

「とりあえず終了ですね」
「そうね、とりあえずはよかったわね」
 わたし達はエレベーターに乗る。

「向こうの担当さんは課長がわざわざ来社したので逆に恐縮してましたよ、それにセクハラ発言もなかったし」
 杉山くんはにこやかに話してくる。
 確かにセクハラ発言はなかったが、あの担当者の目付きは超セクハラだった、と、杉山くんに言いたかったのだが我慢した。
 あの初見から上から下までチェックをするかの様にに見てきたし、そしてソファに座ってからはずっとわたしの脚を見つめてきたのだ。
 だからわたしは逆にわざと何度も脚を組み替えし、刺激してやったのである。
 だが、隣にいた杉山くんはそんなあの担当者の視線には全く気付いてはいないようであった。
 そしてあの担当者のあの目付き、そう、あれはまるでフェチの目付き、つまりは部長の目付きと同等であった、ただ部長と違ったのは彼の目付きには品がない、つまりは下品な目付きといえたのである。
 それにあの程度の目のセクハラは今まで散々受けてきていた、だから今更びくともしないのだ。
 すると急にお腹が減ってきた。

 ここは新橋駅前である、そうだ…
「杉山くん、焼き鳥屋へ行こう」
「えっ、焼き鳥屋ですかっ」
「うん、なんだかお腹が減ったの、なんか焼き鳥の気分…」
 わたしはそう言い、杉山くんをガード下の焼き鳥屋に連れて入ったのだ。

「じゃ、とりあえずお疲れさま」
 わたしはレモンサワー、杉山くんは生ビールで乾杯をする。

「なんか課長が焼き鳥って意外っす」
「えー、なんで、焼き鳥大好きなの」
「いや、課長みたい美人は焼き鳥なんか、ましてやこんなギトギトした店なんて行かないんだ…と」
「えーっ、なに童貞みたいなこと言ってるのよぉ」
 杉山くんが年下で気楽なのと、さっきの担当者のフェチの目付きの刺激で思わず下ネタを発言してしまった。
 だが、これが杉山くんには直撃だったらしい、顔を少し赤らめているのだ。

「えっ、まさか…」
「は、はい、童貞っす、いや、正確にはシロウト童貞っす…」
 見事に直撃したらしい。
 今夜は楽しいお酒になりそうであった。

 シロウト童貞って、まさかなの…






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