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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 13 過去の誤ち ①

 えっ、ま、まさか、やってしまったか…

 驚きと共に意識が急激に覚醒をし、そして頭痛が襲ってきた、だが、その頭痛のおかげで徐々に記憶も覚醒してくる。

 ま、まさか…
 慌てて自らを見た。

 あ、服は着ている…
 そうであった、ブラウス、スカート、ストッキング等、ちゃんと服は着ていたのだ。
 そして隣の杉山くんを見ると、Tシャツとパンツを履いているようである。

 よかった、多分、やってないわ…
 とりあえず服を着ている事で状況が少しわかってひと安心をしたのだ。

 つまり…
 昨夜、焼き鳥屋にてわたしは酩酊してしまい、おそらく目の前にあったこのビジネスホテルに彼によって運んでもらい、この今の状況なのであろう。
 枕元の時計は午前4時を少し過ぎた時刻であった。 

 こんなになるまで飲んだんだっけ
 確かレモンサワーからのウーロンハイで、4杯目だったような…
 こんな寝落ちする程の酒量ではない。
 確かにここ最近の疲れと、やや睡眠不足もあった、だが、一つだけ心の中で騒つく思いが浮かぶのだ。

 やはり煙草の煙のせいか…

 さっきの焼き鳥屋の店内は仕事帰りのサラリーマンでほぼ満席であり、店内は煙草の煙で充満していた。
 現にいま、自分の躰からも煙草の煙の匂いが臭い程である。

 まだ、カラダが、頭が、あれを記憶しているんだ
 昔の大学生時代ハマっていたあれが、まだ脳裏とカラダの細胞の中に残っているんだ
 だからあの程度の酔いで、充満していた煙草の煙で反応し、酩酊してしまったんだ…

 わたしはそんな過去の悪さの誤ちを思い返し、この状況に納得してしまうのであった。



 そう、決して消せない過去の誤ち…
 
 わたしはいわゆる大学デビューであった。
 幼稚園からの一貫教育の某有名私立大学卒業のわたしは、ひとり娘という事もあり幼少時代から何不自由なく育てられ、塾等の習い事も通い、また比較的表面的な反抗期もなく、高等部までは真面目に勉強熱心に育ってきたのであった。
 実際、陰で何か悪さをする事もなく、なぜか中等部の3年生位から、大学に入るまでは真面目にいこう、と思いながら過ごしていたのである。
 だからエスカレーター式ではあるが大学に進学してからは、入学式後からいきなり弾けたのだ。

 まずは見た目から変えていったのである…







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