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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 16 夢虚ろ

 なんだか新鮮でかわいいわ…

 逆に過去を思い返してみると、この状況でやられなかった事はなかったからである。
 特に大学入学当初はまだ酒に慣れておらず、よく無理矢理飲まされて酩酊させられ、やられた事が2、3回程あったのだ。
 だから余計に新鮮でかわいく感じるのだと思う。
 しかし、そんな過去の事を思い返すと、本当にあの大学時代の事は全て消して無かった事にしたいと、心から本気でそう思うのだ。

 とりあえずシャワーを浴びようか…
 そしてシャワーを浴びる。

 まずはこの煙草の匂いを消したい…
 どうしてもこの煙草の匂いが、過去を連想させてくるのであるから。
 2度、3度と髪を洗う。
 その時である、ふと、寝落ちしていた時の記憶が浮かんだのであった。

 なんとなく脚に気配を感じた…
 まだ夢虚ろなあの時に、脚に顔が寄ってきた気配を思い出したのだ。

 脚の匂いを嗅いでいたような、まさか…
 まさか…と思った時にあの規則的な息遣いと、音、そしてカサカサという紙系の音が蘇ってきた。

 そうか、わかった…
 杉山くんは寝落ちしているわたしを見て、脚を見て、匂いを嗅ぎ、オナニーを、自慰行為をしていたのだ。

 だからあの規則的な息遣いと音であり、後始末の為のティッシュの紙の音なんだ…
 その気配と、その音なのである。

 なんだ、やはり杉山くんも男なんだなぁ、だからシロウト童貞を卒業できないんだ…
 わたしはなんとなく納得してしまったのである。
 そして、余計に杉山くんをかわいく感じてしまうのであった。

 シャワールームからバスローブを纏い出ると、杉山くんが呆然と寝ぼけた顔で起きていたのだ。

「あっ…お、おはようございます…」
 なぜか慌てた顔をしている。

「おはよう、なんか昨夜はごめんなさい…」
「い、いえ、そんなことは…」
「いや、すごい迷惑掛けちゃったみたいね」
「えっ、そんなことないっす」
「うふ…」
 その言葉遣いもかわいく感じる。
 すると寝ぼけまなこで杉山くんはジッとわたしの姿を見てくるのだ。

「やだ、なに見てるのよ…」
「あっ、い、いや、すいません、なんかきれいだなぁって…」
「もう、やらしい」
「い、いや違うんす、風呂上がりの女の人見るの母ちゃん以外に初めてで…」

 その言葉にわたしは思わず笑ってしまう…





 

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