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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 22 イヤな目付き

「でも、この前の面談では、そんな仕事に対して全く前向きな気持ちがない…と言ってましたよ…」
 普段の仕事振りを見るとそれが不思議でならない、そんな風には見えないんだ、とも、笠原主任はそう言ってきたのだ。
 だが、わたしには彼女に対してコンプレックスがあって深くその辺りを訊くことが出来ない、とは笠原主任にはとても言えないでいた。

「私も彼女にその事を訊きたい位ですよ」

 そうだっ…
 わたしは閃いた。

「じゃあ、笠原主任も一緒に面談に立ち合って下さいよ」
「ええー、でも、私なんかが…」
 いや、願ってもない事である、ぜひ何がなんでも立ち合いをお願いしたいのだ。

「大丈夫ですよ、彼女も主任さんなら問題ないと思うし…」
 こうして一つのプレッシャーは少し減った。

 よしっ、これで、とりあえず今からの各派遣会社との会議に集中できるぞ…
 そう思い、会議に臨む。
 各派遣会社は1社以外は二人組で来社してきたので計9名が集まった。

 会議では現段階ではわたしが中心になり、こちらの経緯から内容、そして要望を伝えていく。
 杉山くんの話しでは、約2カ月ちょっとしか準備期間がなく各派遣会社の営業マンも皆、厳しい顔をしていたのだが、現在全国急展開中の外資系派遣会社だけが
「早急に対応します…」
 と、口火を切ってくれたので他社も慌てて追随するというカタチとなったのだ。
 その流れはうちとしては非常にありがたく、助かった展開といえたのだが、一つだけわたしには気になる事があったのだ。
 それはその営業マンの目であった。

 その営業マンは最初の名刺交換の挨拶の時から、わたしを瞬時に上から下まで、それこそヒールの先までチェックするかの様に見てきて、それから会議中のわたしの脚をずっと、舐め回すような目で、そう大原部長とかのフェチの目付きとはまた異質な、なんとなくじっとりとしたいやらしい目で見てきていたのである。
 会議中はどうしても前に立たなくちゃならなかったし、その彼は一番前に座っていたから否が応でもその視線をずっと受けてしまっていたのだ。
 そんな経緯があったので、その営業マンの助け船的なありがたいタイミングでの応えではあるのたが、なんとなく手放しでは喜べなかったのである。

「いやぁ、よかったすね、あの外資系派遣会社が応えてくれて…」





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