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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 24 黒い女の欠勤

 14時を過ぎた頃であった。

「今さっき蒼井さんから電話が来て……」
 通勤途中の電車内で突然体調不良になってしまって急きょ欠勤になってしまったそうなのだ。

「ええっ」
 何でもいつもは普通の早番なのだが、先の2人の欠勤のせいで急きょ中番出勤に変わってくれたのだが、急に電車内で体調不良に陥ってしまったというのである。

「大丈夫なんですかね、心配ですね」
 それは本音である、さすがに心配になっていたのだ。

「彼女の穴は埋められますか…」
「今、セクションのチーフに調整して貰ってますから…」
「分かりました、わたしも何かあれば協力しますから言って下さいね」
「はい、じゃあ…、あっ、面談は来週ですねぇ…」
 そう笠原主任は呟きながらセクションの方へと小走りに行った、ここ数日重なった急な当日欠勤に、笠原主任も連日駆けずり回る勢いで頑張ってくれていた。

 それにしても蒼井さんは大丈夫なんだろうか…
 そう本気で心配をしながら、反面、今日の面談が中止になったことで少し気楽になっていたのだ。

「シフトは大丈夫なんですか」
「中番予定の蒼井さんが欠勤になっちゃったんで、遅番を調整してもちょっと無理かも…」
 だから笠原主任がその間を繋ぐと言った。

「えっ、でも笠原主任はご家庭が…」
 確かまだお子さんが5~6歳の筈である。

「旦那に連絡して何とかしますから大丈夫ですよ…」
「じゃあ、定時まで笠原主任にお願いして、その後の遅番の繋ぎの間にわたしがしますよ」
「ええっ、そんな、課長になんか…」
「いや大丈夫ですよ、わたし独身だし、とりあえず夕方からは手が空きますから…」
 それに何より、ここのオペレーションマニュアルはわたしが作ったのだから…と、そう彼女に云った。

「じゃあお願いします」

 ここのセクションの派遣会社から出向しているチーフも一生懸命に狂ったシフトの穴埋めに奔走しているのだ、責任者であるわたしが見過ごす訳にはいかなかったのである。
 こうしてわたしも夕方からはオペレーターとして数時間だがやる事になったのだ。



「今日ね、あの例の黒い彼女の蒼井美冴さんと面談予定だったんだけど……」
 わたしは夕方の空いた時間に部長に電話をする…
 なんとなくだが声が聞きたくなったのである。

「面談が嫌だったんじゃないのか…」 






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