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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 36 8月1日金曜日

 ああ、早く逢いたい、浩一さんに抱かれたい…
 だが、今日も、明日も、明後日も、仕事のスケジュールを考えると逢える時間が取れそうにもなかったのだ。
 せっかくの週末を迎えるのだが、いつもの週末の様には逢えなそうなのである。

 でも逢いたいなぁ…
 何とか調整してみようとわたしはシャワーを浴びながら考えていた。

 8月1日金曜日午前8時23分

 朝、遅刻ギリギリの時間に出勤した、なんとか間に合ったのである。
 一応、課長という立場であるから、例え遅刻したとしてもどうにでも適当に言い訳は出来るのだが、今のところはそこまでの権力の行使はしていなかった。

「課長おはようございます、昨夜はありがとうございます」
 出勤するとすぐに笠原主任が挨拶をしてくる。

「あ、おはようございます、いいえ、大丈夫ですよ」
「昨夜は…」
 午前零時前には交代できて退社できた、と答える。

「今朝くらいは、少しゆっくりと出勤すればよいのに…」
「いえ、朝イチから会議もあるし…」
 普段も寝るのは遅いから、と言うと。

「でもなんか、お顔が少しお疲れみたいな…」
 そう彼女は優しい言葉を掛けてくれたのだ。
 だが、この疲れ顔は多分、昨夜の代役オペレーターのせいではなく、恥ずかしい昨夜の自慰行為のせいなのである。
 そしてその事はさすがに言えないし、そのせいで睡眠時間が正味3時間半程度になってしまった事ももちろん言えるはずがない。

 いや、代役のせいではない、自分が悪いのだ…
 そう、少し自分自身を自虐してしまう。

 だが、昔はそのくらいの睡眠時間では次の日辺りは何て事はなかったはずなのだが
 歳なのかなぁ…
 この11月で31歳になる、少しずつ誤魔化しが利かなくなる年齢なのかもしれない。

 だとすると、やっぱり今夜は逢えないなぁ…
 明日も朝イチから会議が続く予定なのだ、大原部長と逢瀬をし、抱かれたら、モロに顔に疲れが出てしまうのは必至である。

 やっぱダメかぁ…
 こんな事を考える自体、やはりわたしは変わってきているのだろう、と思うのだ。
 
 やはり、こういう事が愛なのか…
 トイレの洗面台で顔をチェックし、少し化粧を直しながらそう考えていた。

 今考えると、本当に昔は普通ではなかったからなぁ
 出来れば本当にあの過去を消し去りたい…






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