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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 37 時間

 出来れば大学時代から留学時代までの過去を本当に消し去りたい、と、特に最近は本気で思っていた。
 そう思いながら化粧を直し、わたしは会議に頭を切り替える。

 とりあえず、今朝の会議はこのコールセンター部専属の営業社員3名と、わたしと笠原主任の5名での会議であり、今回の杉山くんの取ってきた新たなプロジェクトのこれからの流れと、準備の打ち合わせと再確認程度の内容だったので、すんなり無事に終了した。

「まずは明日の派遣会社との会議ですね…」
 杉山くんがそう話し掛けてきた。

「そうねぇ…」
 うちとしては初めてのアウトバウンドのオペレーション業務となるので、昨日の派遣会社の営業には、できるだけ経験者を、もしくは臨機応変に対応できるスキルの高い人材を、との希望を出してあるのだ。
 ただ、時間がなかった、時間の余裕がない分各派遣会社にとっては無理難題な注文になってしまっていたのである。

「まあ、昨日の明日という短時間だからどれだけ経験者を集められるかだわねぇ」
 そう応えた。
 どっちにしろ、対応マニュアルは作らなくちゃならないのであるが、わたし達にとってもこのアウトバウンド的業務は未経験なのであるから、できるだけ経験者が集まるに超した事はないのである。
 更に本音をいえば、逆にわたし達にマニュアル等に対しての意見を提示できる様な人材が欲しいのだ。
 
「自分も色々動きますんで…」
 杉山くんはそう言い、営業に出ると言って出掛けていった。

 この企画は本当に業績的にも、売り上げ的にも本当に素晴らしいのであるが、時期と時間がないのが本当に難点なのである。
 来週末には吸収合併の発表があり、お盆休み明けから新事業計画がスタートをする予定となっていた、そしてこの新事業計画もやはり時間的余裕が全くなかった、いや、足らないくらいなのであるのだ。
 そこにもってきてこの新企画である、本当に時間、人材等が足らないし、余裕もないのである。

 本当に猫の手も借りたかった…

「佐々木課長、電話入ってます」
 昨日の外資系人材派遣会社からであった。

 あ、あの、いやらしい目の奴だ…
 わたしは一瞬で昨日の彼の舐め回す様な目付きを思い出してしまっていたのだ。

「はいお電話代わりました、佐々木です…」
 
 なんと経験者が2人手配出来そうだ、と言うのだ…




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