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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 38 本音

 昨日の外資系人材派遣会社からであった。

 あ、あの、いやらしい目の奴だ…
 わたしは一瞬で昨日の彼の舐め回す様な目付きを思い出してしまっていたのだ。

「はいお電話代わりました、佐々木です…」
 なんと、経験者の、しかもベテランオペレーターが2人手配出来そうなので、大体の概要で良いから条件を伺いたい…との電話であった。

「午後イチに伺ってもよいですか」
 こちらにとっては早速の有難い話しであるので快諾をする。

 あいつかぁ…
 願ってもない話しではあるのだが、よりによって例のあのいやらしい目付きの営業マンなのである、わたしは少しその事に引っ掛かっていた。
 
 まあ、何があった訳でも、ある訳でもないのだ…
 そう思う。

 そうだ、今の内に部長に電話しておこう…
 やはり週末の逢瀬は無理なので一応話しておこうと思って電話を掛けるのだが、本音は声が聞きたかったのだ。

「お疲れさまです、佐々木です…」 
 周りに人がいるのであくまでも部長と部下の課長としての声掛けをした。
 そしてコールセンター部署の責任者である佐々木ゆかり課長として、その業務内容等の打合せと人材確保の調整の為に数社の大手人材派遣会社や、依頼先の大手テレビ局3社との会議が明日の朝イチから続くのだ、と話しをする。

「まだざっくりと挨拶程度の会議にはなるのだけれど、テレビ局は早く進めたいらしいの、だから人材確保も急がなくちゃならないし…」
 やる事が山積みとなってしまって、明日のみならず日曜日も朝から会議が入ってしまったのだ、と話した。

「だから週末なんだけど…」
 今週の逢瀬はとても逢えない、と小さい声で伝えたのだ。

「そうか…それは残念だな」
「あ、今日は本当に残念だと思ってるみたいね」
 ちょっと嬉しくなる。

「な、なにを、いつも本当に思ってるし」
「えぇそうかなぁ…」
 わたしはそんな部長の声を聞いていて、本当に逢いたくなってしまうのだ。

「ま、そんな感じなんで、部長もゴルフや銀座も少しお休みしてゆっくりしてくださいませ…ね」
 精一杯の強がりの言葉であったのだ、逢いたくて堪らないのである。
 だが、今週末はある意味大切なスタートでもあるのだ、体調も整えなくては今後にも影響が出るような気がしていた。

 だから、ここは我慢であるのだ…






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