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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
44 虚勢

「あ、こっちです」
 彼、遠藤タカシは笑顔を見せ手を挙げてわたしを呼んだ。
 こうして彼の顔を見ても確かに思い出しはしたのだが、先程の会議室で明かされてようやく思い出した程度であったし、あの当時に会話した記憶は全く無い、その程度の存在感なのであった。
 だから確実に彼程度の立ち位置ならば超VIPメンバーの存在等は知らない筈である、だから迂闊な事はわたしからは絶対に話さない様にし、万が一触れられても徹底的に否定しようと思ったのである。

 そしてわたしを呼ぶその笑顔からはさっきまでの会議室内での緊張感は無く、どちらかといえば屈託の無い笑顔といえ、ましてや裏がある類の表情には感じられなかったのだ。
 ただ相変わらず彼の視線はわたしの脚を追ってきていた。
 そしてソファーに座る。

 この比較的有名な都内各地に点在するフランス印象派の画家の名前の喫茶店のソファーは、まるで応接室にある様な高級な深々と座れるモノなのだ。
 だから対面に深々と座ると、膝丈のスーツのスカートから出ている脚が相手には微妙な角度に見えてしまうのであった。
 そして案の定、彼の視線はわたしの脚に釘付けとなったのだ。

 ああ嫌、いやらしい目…
 わたしにとってその彼の目付きは、前日からのセクハラまがいの印象があったせいで不快にしか感じなかった。
 そしてこの意図の読めないこの呼び出しに、不安の気持ちが高ぶるばかりであったのだ。

「すいません、わざわざお呼び立てしちゃって」
「で、なにか…」
 わたしは精一杯の虚勢を張る。
 気持ちで負けてはダメだと思っていたのである、なぜなら、当時の彼の黒服としての立場からしたらわたしの存在自体が本当に当時としてはクイーン的な立場であり、簡単に話し掛ける事などできなかった筈なのであったから。
 だから今も、その立場を維持する為にもこうして精一杯の虚勢を張っているのである。
 そしてまだ彼の意図も読めないでいるのだ、強気な当時のままの地位的な関係を維持する為にも、ここが勝負の別れ道と判断していたのだ。

「えっ、い、いや、あまりにも懐かしくて…」
 わたしが昔のままに、凛としたクイーン然とした雰囲気を保っていたので懐かしくてつい誘ってみたのだ、と言ってきたのである。
 そしてその話す様子は弱冠オドオドとした様子であった。

 よし、いけるっ…
 



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