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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
63 もう一人の女王

「だから僕は余計ゆかり先輩に付いていったんですよ…」
 
 実は我々の超ナンパサークルには、わたしと双璧を成すもう一人の女王様がいた。
 わたしは『姫』と呼ばれていたが、そのもう一人の女王様
 池上海(うみ)は、うみなのでマリン、『お嬢』つまり『マリンお嬢』と、呼ばれていたのだ。
 そして当時のサークルはわたしの『姫』と『マリンお嬢』の二つの派閥が密かに存在していたのであった。
 わたしは元々が好きなように好きなことを、自分の思うままにやる、という感じで過ごしていたのだが、『マリンお嬢』は違ったのである。
 彼女はどこから見ても美しいのだが、東北秋田県出身であった、そしてその事が彼女の唯一のコンプレックスであったらしく、そして他に虚栄心、虚飾等の思いが強かったようであったのだ。
 だからなのか、なぜかわたしに対して強いライバル意識を持ち、当時はことある毎にわたしに対抗してくる様な感じがしていた。
 そしてナンパサークルの当時のリーダーまでも誘惑し、サークル内までも支配しようとしていたのである。
 当時のわたしはそんな『マリンお嬢』に対抗する気など全くなく、ましてや色々と絡んでくることにも嫌気が差し、また面倒くさくなり、その頃、つまりは大学3年の夏辺りからは殆どサークルには顔を出さなくなっていて、単独で好きな時にディスコ等に通い、そして例の『六本木クラブJの姫』と持てはやされてのマリファナ三昧を送るようになっていたのだった。

「そういえばそうよね、あの頃なのにオリオンはわたしの傍にいつもいたような…」
 そうなのである、殆どサークル活動には参加しなくなったのにいつも健太は傍に居たのである。

「だって、あの『マリンお嬢』が僕には下品に見えてしまって、それに…」
 それに彼女の取り巻き連中も嫌いであったのだ、と言ってきた。

「ふぅん、そういえば『マリンお嬢』っていたなぁ…」
「彼女は見栄、虚栄心の塊で、ゆかり先輩みたく勉強もしないから単位落としまくり、挙げ句には単位欲しさに教授と寝たりと、汚い噂だらけでしたから…」
 だからサークル内のちょっとかわいい女の子達を虐めたり、で、中がグチャグチャになって、ゆかり先輩の卒業後にサークルは解散しちゃいましたよ、と言った。

「それにあの『マリンお嬢』は、ゆかり先輩がオーストラリアに留学後に…」



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