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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 67 留学

 運命かぁ
 だとするとあのニュージーランドでの出会いも運命の導きなのかもしれないなぁ…
 そう思うとこの健太との再会もなんとなくだが運命の様な気が段々としてくるのである。
 そう考えながら健太を見つめ直す。

「でしょうっ、やっぱり今運命かなって思ったでしょう」
「うん…ちょっとだけね…」
「そうなんですよ、運命なんですよ、そもそも…」
 あの大学の新歓コンパの出会いからが運命の始まりなんですよ、と言ってきた。

「ほらすぐ調子に乗ってぇ」
「だって、本当にそう思ってんですもん」
「あの出会いはそんなんじゃないわよ…」
「えー、そうですかぁ」
「でも、この同じ会社だという事にはちょっとだけあるかなって思い始めてるかも…」
 そうなのである、バブル期が弾けてしまいいきなり就職難がやって来たのにも関わらず、お互いこの世間一般でいうところの一流企業に就職できて今、こうして約8年振りに再会をしているのだ。

 運命の流れってあるのかなぁ…
 よりによってこの健太、オリオンとの再会なのだ、やはり何かの流れがあるのかもしれない。

 だとすると、この先にもこの流れに乗って何かの再会か、出会いがあるのかもしれないなぁ…
 だんだんそんな思いが募ってきていたのだ。

「だから、やっぱり、これからは僕を見つめながら…」
「ばか、それとこれとは違うの」
「そうですかぁ…」
 でもこれからは一緒に仕事するんだから…
 と、笑う。

「そういえば、あの後どうしてたの…」
 そう、わたしが大学を卒業してからの2年間は…

 …しばらく抜け殻だった、そして本気で後を追ってオーストラリアに留学しようとしたのだ。
 だが親に、大学卒業してから留学しろって説教され、じゃあ間を取って3年秋から2年間のスタディーアブロードプログラムを上手く留学口実の理由にして留学し、帰国後にまた2年間就学して卒業したのだが、その約半年間のズレがすれ違う事になってしまったのである。

「だいたい卒業してからオーストラリアに留学するなんてひと言も言ってくれなかったじゃないですか…」
「うーん、だって彼氏じゃないし…」
「うわっ、グサッときたぁ」

 どっちみちゆかり先輩は卒業したら都内のどこかに就職するだろうから会えなくなることなんてない、と、高をくくっていたら日本から居なくなってしまったのだ…



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