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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 104 女同士

「羽田近くまで、とりあえず首都高羽田線の羽田IC目指して…」
 そう告げて座席に座り、流れて行く横浜の夜景を見ながら今夜の楽しかった笠原響子主任との食事の様子を思い返す。

 わたしは基本的にはほぼ外食である、というか料理はカップ麺にお湯を入れるか、レンジでチンしか出来ないのだ。
 大学時代までいくら遊び狂っていても自宅にはちゃんと帰っていた、だから日常の食事は母親が作ってくれていた。
 なので留学中からほぼ外食になったのだ。
 ただ半年間のニュージーランドはホームステイだったので料理はステイ先で用意してくれたのである。
 そして僅かな結婚時代は、あの頃2人共々バリバリに仕事していたからお互いに帰宅は不規則であったし、幸いな事に元夫が料理好きだったのでそっち関係はすっかり任せていた、ただ、母親の影響もあり掃除、洗濯関係は無難にこなせるのだ。
 そんな事で料理は全く出来ないので女1人の外食は全く気にはならないのである、これが苦手ならば少しは料理も覚えたのであろう。
 だから今のわたしには料理は必要ない事なのである。
 その様な感じなので外食は殆ど1人、そして友達もいないので1人、あとはここ1年間は部長がいるからたまに2人、そんな感じなのであった。
 だから同性の女性同士でのプライベート的な今夜の様な食事は実質初めてなのである。

 これは寂しいことなのかな…
 このことに関して現実的には寂しいと思った事は一度もなかった、いや、考えた事さえなかったのだ。
 普通に街中で女同士で仲良く、ペチャクチャと話しながら遊んでいたり、食事している様子を見かけていても一度たりとも羨ましく思った事などなかったし、逆にそんな仲良さそうな姿が偽善的に見えていた位なのである。
 だけど、今夜の笠原響子主任との食事は本当に楽しかったのだ。
 本当にまた行きたい、カラオケに行きたい、そう思ったのである。
 だがこの思いに動揺を覚えていたのだ。
 それは本当に思ったことがないからなのである。

 わたしって本当は寂しい女なのかな…
 大黒埠頭辺りの流れる夜景を見ながらそう思っていたのだ。

 違う、そう思うことが普通なのよ、わたしはようやく普通になってきているのよ、それも…
 
 それは
 大原浩一部長のおかげなんだ
 部長によって本当の愛を知ったせいなのだ…
 



 
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