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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 112 それぞれの日曜日⑦ 蒼井美冴

「美冴くん宅はどの辺りなんだ」
 今朝、チェックアウトした大原部長がそう訊いてきた。

「駒沢大学の近くなんです…」
「そうなのか、意外に近くだったんだなぁ」
「そうみたいですね…」
 どうやら部長はこの近辺の三軒茶屋辺りに住んでいるとの事で、こうした仕事的な接点を持つ以前から、実は縁があったんだと、わたしは思っていたのだ。

 そしてどうやら部長はまだ名残惜しい感じがあるようなのだが、わたしは心も気持ちもすっかり今朝までの部長との逢瀬により解放され、再生するんだというワクワク感が湧き起こっており、早く、一刻でも早く、再生、そして復活の為の新たな自分の第一歩を踏み出したくなっており、この場で別れる事にしたのである。

 よし、まずは美容室だ、服も買いたいなぁ…
 明日からの自分を想像し、心が弾んできていたのであった。

 本当にわたしはようやく心が解放できたのだ…

 そしてまずわたしは美容室に行く事にした。

 そうだ、ここからならば代官山まで遠くはない、それに美容室やブティック等も沢山ある
 よし代官山に行こう…
 お金の心配は無かった、なぜなら離婚の慰謝料をたっぷりと貰ってあるから。

 せっかくだ、いい洋服も沢山買ってしまおう…
 それは新たなわたしへのスタートの為とお祝いなのである。

 これからは『黒くない女』になるんだ…
 心のワクワク感が止まらない。
 わたしはタクシーを拾い代官山へと向かったのだ。


 ヘアースタイルは今のセミボブにシャギーカットを入れ、毛流れを意識しておでこを出したシャギーカットミディアムヘアー風にしてもらい、カラーを明るいライトブラウンに染めてもらう。
 鏡で確認すると、今までの黒い濃いめのブラウンのセミボブヘアーからスッキリと明るく軽くなった、そして表情も
「おでこを出したから髪も軽く、表情がすごく明るくなりましたね…」
 と、美容師が言うくらいに変わったのだ。

 そして美容室を出て数ある代官山のブティックをたっぷりと時間を掛けて回って行く。
 8月だから品揃えは殆ど秋物となっていたのだが、夏物もまだまだ在庫的に残っている、わたしは今までとは本当に対照的に明るい色合いの、一応は37歳という年齢相応のデザインを選んでいったのである。

 両手で持て持てるギリギリまで購入した…



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