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シャイニーストッキング
第6章 黒いストッキングの女5     課長佐々木ゆかり
 113 それぞれの日曜日⑧ 蒼井美冴

 わたしは両手で持てるギリギリの量の服を買い込み、再びタクシーを拾って帰宅する。

 そして夕方に帰宅したわたしの様子を見た母親の顔は、多分この先一生忘れないであろう…

「あっ、み、美冴……」
 母親はそう絶句をし、涙ぐんだのである。
 おそらく母親は、わたしの変わったヘアーカラーの色の明るさとヘアスタイルによるより明るくなった表情を見て、一瞬でわたしの全ての変化を、いや、復活を悟ったのだと思われる。
 そして絶句をし、涙ぐんだのだ。

 わたしはその母親の涙ぐむ姿を見て

 今迄どれほどの心配と迷惑を掛けたのか…

 と、心から反省をしたのであった。

 そして部屋に戻り、買ってきた多数の洋服を当て、または着替え、何回も、何十回も姿見で確認し、心と気持ちを昂ぶらせて今の時間に至っているのである。
 そしてベッドではその昂ぶりのせいで眠れないでいたのだ。

 ああダメだ、全然眠れない…
 なんとか無理矢理にでも目を閉じるのだが、どうしても昂ぶってしまい眠れないでいたのである。
 
 仕方ない…
 そしてわたしは仕方なく、敢えて考えないようにしていて片隅に追い遣っていた想いを脳裏に浮かべていくのであった。

 それはこの覚醒の引き金となった、脚フェチ、ストッキングフェチの目、視線である。

 覚醒の引き金となったのは、中番に代わった為に乗った平日のガラガラの電車で対面に座った大学生であろう男の子のわたしの脚を見つめてきた、あのいやらしく、わたしにとっては懐かしい、懐古を想起させてくる脚フェチ、ストッキングフェチの熱い視線であったのだ。

 わたしはその大学生の熱いフェチの視線に気付き、意識をした時に、脳裏の奥深の片隅に封印していた性欲の疼きを完全に覚醒させてしまったのである。
 だが、その完全覚醒には呼び水があったのだ、それはここ最近よくわたしを見つめてくる佐々木ゆかり課長の視線なのであった。
 その頃の佐々木課長はなぜか事ある毎にわたしを目で追い、見つめてきていたのである。
 そしてわたしはその視線に気付き、その意味を考え巡らせていくとある過去の想いの意味に辿り着いたのだ。 
 
 それは過去に禁断の関係をしていた『きーちゃん』と『和哉』の2人の視線の意味に結び着いたのである…








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