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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 27 愛情と嫉妬と甘え

 今迄の男とは、男達とは、皆わたしに自然と近寄ってきて、勝手にわたしを好きになり、尽くしてくれ、貢いだり、持ち上げてくれ、そんな取り巻き達の廻りの中からその時の気分によって選び、遊ぶ、というこんな感じの存在であったのだ。
 ましてや『黒い女』の存在感を痛切に意識しての、誰にも言えないわたしの初めて持った嫉妬心にしたって、子供の頃から比較的恵まれ、甘やかされ、そして挫折等もした事がなく育ってきたせいなのか他人を羨む事もなく、ほぼ競争も、脅かされた事等もないので、この嫉妬心という感情も初めてに近い感情なのである。

 だが、今回、色々な事が絡み、浩一さんの魅力に惹かれ、『黒い女』という、言うなればわたしに対抗するような存在感を感じた事により、浩一さんに対する愛情、そして愛情の昂ぶりに比例するかの様に生まれてきた嫉妬心という感情を持ったのだ。
 そしてそれらの感情を改めて自分なりに噛み締め、分析し、考えた結果の答えが

 わたしは愛を知り、普通の女になった、いや、なりつつある…
 と、いう事であり
 そして

 わたしは今迄が普通ではなかった…
 と、いう事を改めて認識したのだ。
 これらがここ数日間の感情の昂ぶりにより考え、分析した結果の答えなのである。

 だからこうして大原部長を普通に浩一さんと想い、逢いたくて堪らなくなってしまうこの感情の揺らぎや欲望も、普通に生まれ変わりつつあるわたしの進化の過程であるのだ…
 と考えて、こうして思い切って甘えてみたのだ。
 だがよくよく考えてみると、甘える、というこの感情もわたしには初めてに近いかもしれなかった。
 なぜなら今迄は、わたしの取り巻きの男達が皆、上げ膳据え膳、と持ち上げてくれ、何でも思うがままであったのだから甘える必要等は無かったのである。
 ほぼ何でも想いは適っていたのだ。

 そしてオーストラリアでの仲間の逮捕等の出来事の一件で考え方を180度変え、帰国後に心を改めて就職して社会人となり、ある程度の社会の常識や辛さを実感した時に改めてわたしは普通ではない、なかった
のだ…
 と、解ったのである。

 しかしどちらかといえば社会人になってからも、ほぼ挫折なく順調にこうしてキャリアアップを重ねられてきているので、まだまだ恵まれているのだ…
 と、思えてはいた。






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