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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 56 面談 

「佐々木課長、そろそろ面談の時間なんですが…」
 ドキッ…
 思わず笠原主任のその言葉にドキッとしてしまった。

「あ、はい、じゃあ、お願いしますか…」
 さっきのランチで笠原主任がこの蒼井美冴さんとの面談を仕切ってくれる様になった事で、わたしのプレッシャーは少し解れ、そしてやや、お任せ気味な心情となっていたのである。
 そして小さい第2会議室で面談をする。

「失礼します、蒼井美冴です…」
 ややハスキーな声で彼女はドアを開けた。

「どうぞ…あ、笠原主任にも同席してもらいますが…」
 すると彼女はわたしの目を一瞬見て
「大丈夫です、構いません」
 そう応えてきたのだが、その彼女の目が何となく気になった。

「じゃあ早速なんですが…」
 と、笠原主任がわたしに変わり、今回の面談の趣旨と、現在のこの二つの大きな新規事業計画と新規業務案件についての軽い概要を話したのである。
 そしてわたしはその笠原主任の話しを聞いている蒼井美冴をさり気なく観察する。

 本当に変わった、いや、本人曰く元に戻ったと言うのだからこれが本来の彼女の姿なのだろう…
 だが、まるで別人なのだ。
 大体、あの目の輝きが根本的に違うのである。
 この前までのなんびとも受け入れ難い様な、そしてなぜか全てに於いて達観したかの様なあのおぼろげな目が、今は他人を一目で魅了して惹き込んでしまう様な魅力溢れる、魅惑的な目の輝きを放ってきているのである。
 こうして秘かに観察しているわたしでさえ、思わず魅せられてしまう輝きといえるのだ。

「………そういう事なの、どうかしら」
 笠原主任は一通りの現況を話した。

 すると彼女は目を閉じ下を向く。

 えっ、考えているのか、この前は即、断ってきた筈なのに…

「別にこの関連部署じゃなくてもいいのよ、もし、他に別の部署の希望があれば…」
 笠原主任はこの前、わたしと話した様に彼女がもし他の部署の希望があればとりあえず聞く、と言っていた。

「うーん…」
 彼女、蒼井美冴は顔を上げ、目を開き、そしてわたしを見てきたのである。

 ドキッ…
 再びドキッとしてしまう。
 なぜそんなにわたしを見るのか。

 話しているのは笠原主任なのに…
 見られる度にザワザワ、ドキドキしてしまうのだ。





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