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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 57 快諾

「うーん…」
 彼女、蒼井美冴は顔を上げ、目を開き、そしてわたしを見てきたのである。

 ドキッ…
 再びドキッとしてしまう。
 なぜそんなにわたしを見るのか。

 話しているのは笠原主任なのに…
 見られる度にザワザワ、ドキドキしてしまう。

「うーん、そうですね、せっかくのお誘いなので受けさせていただきます、よろしくお願いします」
 はっきりと言い、頭を下げてきたのである。

 ええっ、受けたっ…

「あっ、は、はいっ」
 笠原主任の声が思わず高鳴った。
 そしてわたしを見てくる、その顔は何となく嬉しそうであった。
 それはそうである、今回の件も笠原主任が推してきたのであるから。

「そ、そうですか、受けてもらえますか…」
 そうわたしが言うと

「ぜひ、佐々木課長の元で力になりたいです…」
 なんと、そう言ってきたのだ。

「課長ぉ」
 笠原主任が嬉しそうに呟いた。

「あのぉ、新規の保険てアレですよね…」
 そして蒼井美冴が話し始めてきたのだ。

 いわゆる、オペレーターを使った新たな契約方式を取り、そして保険自体も従来型の積み立てメインではなく、保障も少ないが、細分化した目的に添った低価格の掛け捨て保険制度をメインとする様な…

 わたしは驚いてしまった。
 以前、約2カ月程前に部長から初めて提案を受け、わたしが色々考え、試行錯誤し、そして山崎専務にプレゼンし、採用された内容にほぼ近いことを淡々と、スラスラと話してきたのである。

「ええ、な、何で…」
 思わず、何で判るの、と、動揺してしまった。

「だってこのコールセンター中心で企画進めるって事はこういうことなのかなって…」
 
 それだけでここまで瞬時に理解するのか…
 本当に驚いてしまっていたのだ。
 これには笠原主任も驚いていた。

「実は、このコールセンターを利用した、似た様な契約システムを…」
 以前の某大手旅行代理店勤務中に作ってあるのだ…
 と、言ってきたのである。

「ええっ」
「そうなのっ」
 わたしと笠原主任の二人は同時に感嘆してしまう。

「はい、ただ…」
 当時はまだ早い、時期尚早だって言われて却下されてしまったのだ、と言ったのだ。

 そうなのだ、その当時はようやくパソコンも普及し始めたばかりであり、携帯電話もまだ完全に普及していなかったのである…
 



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