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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 58 二つの太陽

「はい、ただ…」
 当時はまだ早い、時期尚早だって言われて却下されてしまったのだ、と言ったのだ。
 そうなのだ、その当時はようやくパソコンも普及し始めたばかりであり、携帯電話もまだ完全に普及していなかった時期なのである。
 だからまだ旅行の手配等も、最終的な手続きはその申し込みした旅行代理店に直接伺うしか方法がなかった時代なのであったのだ。

「そうなんです、まだ早すぎる、時期尚早だって…」
「じゃあ、そのシステムプログラムは…」
 そう言うと、少し目を落として

「当時の元夫がシステムエンジニアでして…」
 アイデアはわたしですが、殆どその元夫に作成して貰ったのだ…
 と、話してきたのである。

「だから、内容は少しズレちゃうとは思いますが、基本はオペレーター操作による受け付けのシステムを構築してあって、当時は完全に普及されていないクラウド形式の…」
 途中からわたしにはよく分からない専門用語が出たりして分からなかったが、要するにオペレーター操作による契約システムプログラムであるという事なのであったのだ。

 わたしと笠原主任の二人はかなり驚いてしまっていた。
 これは新戦力などとは最初から超えた、主力級的な存在であるといえるのだ。

「ほらっ、やっぱり、二つの太陽だわ」
 笠原主任は興奮気味に話す。

「そ、そうですね…」
 わたしは頷くしかなかったのである。

「えっ、二つの太陽って…」
「あっ、いや、こっちの話しで、ま、後で笠原主任に聞いて下さいな」
 という事で…

「さっそく部長にも報告して承諾させますね、実質的にはわたしに一存されているので、多分、新規事業計画準備室採用にする筈です…」
「はい、よろしくお願いします」
 そう彼女は頭を下げた。

「じゃあ、明日、部長がこのコールセンター部に来社予定なので、多分、部長とも形式上の面談をする事になると思いますので…」
 わたしはこの事を話す時に、胸がかなりザワザワと騒ついたのだ。
 とうとう彼女と部長を、浩一さんを、会わせなくてはならない。
 ザワザワが昂ぶってくる。

「え、部長さんと…」
 そしてそう言った彼女にちょっと何かを感じたのだが、それはわたしのこのザワザワのせいなのだ。

「じゃあ、早速、明日から準備室採用となるので、あとの手続きは笠原主任と進めて下さい…」
 




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