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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 91 酒宴

 その居酒屋は玄関で靴を脱ぎ、堀コタツ式の店である。
 大きい長方形のテーブルの上座に大原本部長が座り、右手にわたし佐々木ゆかりと越前屋朋美が座る。
 そして左手側に武石健太と蒼井美冴が座った。

「じゃあ、今日ほとんど存在感なかったので仕切りさせてもらいますね…」
 と、武石健太が言い出したのだ。

 さすが健太だ、やはりこういう場では使える…
 そして皆に最初の生ビールが手元に揃う。

「では、大原本部長から乾杯をお願いします」
「ああ、じゃあこれからがこの『佐々木ゆかりチーム』のスタートです、皆よろしく、じゃ…乾杯」
「カンパーイ…」
 酒宴が始まった。
 
「そうだ、もう一人、あの人事部の…」
 本部長は生ビールを一口飲み、越前屋朋美に連絡をさせる。

 わたしは飲みながら対面に座った蒼井美冴をさり気なく見ていた。
 
 お酒は強いのだろうか、せっかくの機会だから色々と話してみたいな…
 今朝から比べると徐々に今までのコンプレックス的な苦手意識が薄らいできており、そして彼女は午後からのほとんどの時間はシステムエンジニアの中島彩美と一緒にパソコンに付きっきりとなっていたので、一切話せなかった。
 だが、かえってそれがよかったらしく比較的冷静になれ、魅力の魅了と共に彼女の事を知りたいという気持ちが高まってきていたのである。
 そして彼女の隣に座る健太も、わたしと共に人選をしていたのだが
『彼女誰なんですか…』
 と、さっそく蒼井美冴の不惑の魅力に魅かれたらしく、盛んにわたしに探りを入れてきたのだ。
 だから、この酒宴の席で健太が彼女の隣に座るのも早かった。

「上野さんちょうど残業していたそうで、終わり次第向かうそうです」
 電話連絡をしてきた越前屋朋美は、戻ってそう本部長に話した。

「そうか、じゃあこれで本当のスタートメンバーの顔がわかるな」
 本部長はそうわたしの顔を見て言ってきた。

 本部長曰く、上野涼子もなかなかクセ者だぞ…
 と、この前話してきたから少し楽しみである。
 そして戻ってきた越前屋朋美を見る。

 本当に目がクリッとした愛嬌のある明るくて可愛い子だ…
 だがこんな感じでも東大卒の、最難関の国家上級公務員試験をパスしたのに国のエリートを蹴ったクセ者なのだ。

 ある意味このメンバーの中では一番の強者なのかもしれない…


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