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第7章 絡まるストッキング 1

　95　武石健太　④

「おはようございます、わたしも一緒よ、
　蒼井美冴といいます、よろしくお願いしますね…」
　目の前の美女が、そう云ってきたのだ。

　うわぁ、ヤバい、一緒だ…
　朝からいい予感しかしない。

「あっ、この前の後輩くん、おはよう」
「えっ、あ、ああ、確か…」
　俺は後ろからの声に振り向く。

「笠原主任おはようございます」
　その美女が挨拶をしたのだ。

「あ、そうだ、笠原主任さん」
　そして俺は名前を思い出す。

「おはよう蒼井さん、今日から頑張ってね」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃあ、後輩くんはこっちの第２会議室ね…」
　笠原主任はそう言いながら俺と彼女を案内する。

「あ、わたし、挨拶してきます」
　美女はそう言い、奥へ歩いて行ったのだ。

「じゃあ、後輩くんはこっちね」
　そして当面の仮の『新規事業計画準備室』となる第２会議室に導かれたのだ。

「おはようございます、越前屋朋美です」
　先に部屋にいた女性が俺を見るなりそう挨拶をしてきた。
　目のクリッとした可愛い感じの女性というより女の子という感じである。
　
「わたしはSEの中島彩美です」
　そしてもう一人の彼女も挨拶をしてきた、SE、システムエンジニアというだけあって何となくオタクっぽい感じに見えてしまう。

「武石健太です、こちらこそよろしくお願いします」
「あ、同じ総合職の方ですよね」
　彼女はノートパソコンを覗きながらそう云ってきたのだ。

　あ、こいつか、東大卒のエリートを蹴った女は…
　全くそんな強者には見えなかった、まだ大学生でも通用する様な見た目なのである。

　そして大原部長に、佐々木ゆかり先輩課長、そしてさっきの美女の蒼井美冴さんの三人が第２会議室に入って来た。

「おはよう、大原だ」
　大原部長がそう言いながら
「おおそうだ佐々木部長、彼女が越前屋朋美くんだ」
　彼女をゆかり先輩に紹介をする。

「あっ、佐々木部長、越前屋朋美です、よろしくお願いします」
　すると満面の笑みでそう挨拶をした。

「ええっ、そういえば、部長って…」
　と、越前屋朋美がハッと気付いたように云ったのだ。

「あっ、そう、佐々木課長は８月１日付けで新部長に昇進したんだ、正式辞令は明後日だがな、皆、そういうことたから」
　横から大原本部長が云ってきたのである。