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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 97 武石健太 ⑥

 昨日からだなんて…
 少し驚いてしまっていたのだ。

 なぜなら、こんな急な採用の裏には何かの秘密でもあるんじゃないのか、と、思えてしまうからである。
 事実、ああしてSEの中島彩美と二人でパソコンを打ち込みながら作業をしていたから、余計にその様子に、何かがある様に見えてしまうのだ。

 でもSEではないのだ、なんとなく不思議な感じだ…
 そしてその蒼井さんの不思議さが、あの魅惑的な魅力を俺に拍車を掛けてくるようなのである。

「ねえゆかり先輩、あ、部長、彼女って何なんですか…」
 と、思わず訊いてしまったのだ。

「えっ、もう、早速に美人だからってチェックしてきたの…」
「い、いや、違いますよ、ただ、何となく、そのぉ…」
 ゆかり部長の鋭い突っ込みがきた。

「うーん、ま、ひと言でいえば、不思議な女…かなぁ」
「不思議な女…」
 そのままの答えであった、でも、それでは全く答えになってはいないのだ。
 それでは何もわからないのである。

「そうだ、あの『黒い女』の噂は…」
 知ってるの…
 と、目で訊いてきたのだ。

「は、はい、少しだけ…」
 俺はそう応える。

「彼女、蒼井さんが、その『黒い女』だったのよ…」

「えっ…」

 『黒い女』だった…
 どういう事なんだ、いや、どういう意味なんだ。

「蒼井さんが、『黒い女』なのよ…」
「えっ…」
「うん、そう、『黒い女』だった…かな…」

 ゆかり部長の、そう云ってきた意味が分からなかった。

『黒い女』が、あの蒼井美冴さんだという事なのか…
 いや、全然、黒くないじゃないか。

「黒くない…ですよね…」

「うん、そうなの、正確には、昨日突然に
『黒くない女』に変わったのよ…」

 『黒くない女』…って

 さっぱり意味がわからない。

「実は、わたしにもまだ、よく、わからないのよ、だから…」
 ゆかり部長はそう呟きながら俺を見た。

「そうだ、ちょうどいいわ、健太、あんたが、ちゃんと訊いてきなさいよっ」
 そう云ってきたのである。

「わたしもちゃんと知りたいからさぁ…」
 更にゆかり部長は、何となく意味ありげな目をして、そう云ってきたのだ。

「わかりましたよ、そのうちに訊いてみますよ…」
 俺はそう云うしかなかったのである。

 もしかしたらアンタッチャブルな秘密なのか…



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