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シャイニーストッキング
第2章 黒いストッキングの女1
 7 部長 大原浩一 ①

 「あっ、ダメっ、イクっ、イクぅ」 
 そう叫び、わたしは全身を激しく震わせ、絶頂感を迎えた。

 「はぁ、はぁ、はぁ…」
 激しく息を荒げてベッドにうつ伏せになっているわたしを横目に彼は煙草に火を点ける。

 カシャッ、シュボッ

 「ふうぅぅ…」
 火を点けたジッポーライターのベンジンの匂いがひろがり、彼はマールボロの煙草の煙を吸い込み、気持ち良さそうに吐き出した。

 わたしはそんな彼をベッドの上で絶頂感の余韻に浸りながら見上げる。
 
 彼は部長、大原浩一…

 大原統括部長は直属の上司であり、わたしが今、愛して止まない男である。
 40歳バツイチの中年男だ。
 
 彼は東京6大学といわれる中の一つの某私立大学を卒業後、今の会社に就職したそうだ。
 そして本社営業第一、第二部、総務部を経て現在の支社のオペレーション統括部長に任命され赴任したと言っていた。

 「ま、ゆかりくんから比べたら地味な学歴と経歴だけどね…」
 そう自虐気味に言ってきたが
「でも、直属の先輩でここまで引き上げてくれた山崎さんが専務に昇進したから、私も出世の階段に一歩足を掛けた感じかなぁ…」
 そう笑っていた。
 だが、そんな言葉とは裏腹に余り出世には興味がなさそうであった。

 40歳といっても、頭も薄くはなく、腹も出ておらず、身長は175㎝位で高校時代まで野球をしていてガッチリ体型で、中年の域に入る割には意外と爽やかな笑顔を見せる印象の男であり、今、この男を愛していた。

 部長との本当の出会いは本社時代の外資系の営業部に所属していた27歳の就職3年目の頃であった。
 当時のわたしはバリバリのキャリア志向で、得意な語学力を生かし比較的大きな取引を任せられるところまで頑張っていた。
 そしてプライベートでは同じ営業部の3歳年上の先輩と衝動的に入籍し、公私共々に充実した生活を送っていたのだが、わたし自身の仕事が上手くいけばいくほど夫とはスレ違いが生まれ始め、徐々に歯車が狂い出してきたのだった。
 その狂いの一つは夫の嫉妬心であった、同じ営業部の先輩でもある夫は仕事上ではライバル関係であり、私の仕事が上手くいけばいくほどに焦り、挙げ句に失敗し、嫉妬し、そしてそれを夫婦生活に持ち込み、わたしに八つ当たりをしてくるようになっていた。

 そして浮気であった…



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