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シャイニーストッキング
第7章 絡まるストッキング 1
 106 蒼井美冴 ④

「よいしょっ」
 彼はそう言って上半身を起こして堀コタツから戻った。
 そしてすぐに脇に座っている越前屋さんの肩越しから、わたしの顔を見てきたのである。
 
 あっ…
 ほんの一瞬、一瞬だけ目があった。

 だがその時に…
「おおっ、上野くん来たか、お疲れさま」
 そう言う大原本部長の声がしてきて、わたしはスッとそっちに吊られてしまい視線を動かした。

「あ、上野さん、お疲れさまです」
 酒が入っていい感じの越前屋がそう声を掛ける。
 先ほど大原本部長に言われて電話をして呼んだ、6人目の『準備室』のメンバーである上野涼子が到着したのだ。

「さあ、みんな6人目を紹介しよう」
 大原本部長がそう云う。

「上野涼子です、よろしくお願いします」
 スラッとして、ヒョロッと細い、彼女がそう頭を下げながら挨拶をしてきたのだ。

「ええと、あ、こちらが佐々木ゆかり部長であり、『準備室』の室長です…」
 越前屋さんがそう紹介をする。

「佐々木ゆかりです、これらよろしくね」
「続いてこちらが、蒼井美冴さん」
「蒼井美冴です、よろしくお願いします」
「以上です…」

 すると…
「おいっ、俺はっ」
「あっ、忘れちゃったぁ」
 越前屋さんは軽く戯けた、また、それが可愛かったのだ。

「武石健太です、よろしく」
 と、爽やかな笑顔で挨拶をした。

 ホント、爽やかだわ…
 だが既にわたしには、この健太くんの爽やかな笑顔の下に、ストッキング脚フェチという隠された顔が見えていたのだ。

「じゃあ、お代わり訊きまぁす…」
 再び健太くんがマメに動く。

「蒼井さんは…」
 そしてさっきの堀コタツの中での事など全くなかったのようなとぼけた感じで、わたしの追加を訊いてきた。

「じゃあ、レモンサワーお願い…」
 そう、彼の目を見つめて頼む。
 そこで一瞬、見つめ合うのだ。

 ドキ、ドキ、ドキ、ウズ、ウズ、ウズ…

「はい、了解です」
 彼は、そうわたしの目と交わし、そしてサッと流した。
 だが、その何気ないフリの目の奥には、微かに欲情の光を感じたのだ。

 あ、まずい…

 わたしはそんな彼の目に、疼きのスイッチを入れられてしまったようで、昂ぶり始めてきたのである。

 ウズ、ウズ…ズキ、ズキ、ズキ、ズキ…








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