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シャイニーストッキング
第8章 絡まるストッキング2 蒼井美冴
 42 本来の狙い

「シャワーを浴びてくる…」

 俺はそう言って立ち上がった美冴さんに、なんとなく胸騒ぎの想いがしていたのだ。

 あれっ、もしかして醒めてきているのか…
 そんな不安な想いが湧いてきた。
 なんとなくだがその言葉の言い方に、微妙なのだが醒めた空気感を感じたのである。

 俺はこの
 醒める…
 という事を一番恐れていたのだ。

 なぜならば、今夜の展開が急過ぎるからなのである。
 何かのきっかけで急に美冴さんに欲情のスイッチが入った事は間違いはないのだ。
 だが、そのスイッチのきっかけはわからない。
 しかしその事は俺にとっては願ったり適ったりの展開ではあるのだが、あまりにも急展開過ぎるのである。

 本来の俺の狙いは、今夜は軽く食事をし、美冴さんの心に俺という存在の好印象を擦り込ませ、次回の展開に繋いでいく、という狙いであったなのだ。
 そして次回、もしくはその次へ…そう考えていたのである。
 そしてそれが俺の得意なやり方であり、運び方なのだ、それに図らずも同じ職場なのである、焦らなくても時間はたっぷりとあるし、俺に惹かせられる自信もあったのだ。
 だから今夜は、決して焦ってはいなかったし、もしこじらせてしまったら同じ職場だから却ってまずい、と、考えていた位なのである。
 だが、話しをしている途中で、なぜか、突然に、美冴さんに欲情のスイッチが入ってしまったようなのである、それも、今まで見た事も体験した事もないような欲情のスイッチであった。
 いや、体験といえば、昔の大学時代の『姫』と呼ばれていたゆかり先輩に似たような体験があった事はあった。
 だが、今夜の美冴さんのスイッチの入り方は、ゆかり先輩のそれとはなんとなくだが違って感じるのであった。
 だからそんな思わぬ急展開なのであるが、そこは男である、そして『据え膳食わぬは男の恥』という諺もあるように拒む事などはできやしなかったのだ。
 ただ、そんな急展開なのであるから、醒めるのも速いという想定がもちろん俺の中には当然あったのだ、そしてこの急激に醒める、という展開も、この次からの繋がり的には辛い展開となる事もわかっていたのである。

 だからこそ俺は、この、醒める、という事を一番恐れていたのだ…



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