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シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング3 大原本部長と佐々木ゆかり部長
47 シャネルの残り香
「やはりそうですかね…」
「うむ、やはり山崎専務はすごいや、あの若さで専務まで駆け上がる訳だ…」
やはりサラリーマンも情報が一番なんだなぁ…
と、まるで他人事のように話してきた。
「そうなんですかねぇ…」
「ああ、今は、今は大人しく、粛々とこの新規事業をうまく行くように頑張っていき、山崎専務を足場にする、という方向に歩んだ方がよいと思うな…」
「ま、それはそうですけど…」
「うん、今はそれがいい…
今は足元をしっかり固め、寝首を掻かかれないように、周りを固めること…」
これが、今は、一番だと思うぞ…
大原本部長のその言葉が、何かが、この先にあるような想いを感じたのだが、今は確かにこれでいいのかも…
と、わたしもそう考えたのである。
「ところで…」
わたしにはもう一つの疑惑があったのだ。
言うか、言わまいか…
触れるか、触れまいか…
さっき遅れて出勤してきた大原本部長を、彼を、一目見た時から、話した瞬間から、感じている違和感があった。
わたしはじっと彼を見る。
「な、なんだ…」
そのわたしの目を見て、一瞬に彼は狼狽えた感じになったのだ。
ふうん、そうか…
「えっ、いや、別に…」
「………べ、別にって…」
彼は一気に挙動不審的な顔になる。
「いや、なんか…」
「うん…」
「そのネクタイ…が…」
「えっ…」
「ネクタイの趣味が…」
「佐々木室長っ、すいませーん…」
越前屋朋美さんがわたしを呼んできたのだ。
「あっ、はい、今行く…」
この越前屋さんの声掛けは、彼に、大原本部長とっては、実にいいタイミングであった。
それに周りにはこの準備室のメンバーがいるのだ、誰が訊いているかわからない。
とりあえず、今は止めておこう…
「本部長…
やっぱり…なんでもないです…」
「えっ、あ…」
大原本部長はこれだけで思い切り動揺の色を浮かべてきた。
そしてわたしは嫌味を込めた笑みを浮かべて一瞥し、越前屋さんの方へと向かったのだ。
ま、いいか…
今は…
そう思っているわたしの鼻腔には、甘いシャネルの残り香が感じられていたのである。
シャネルのお姉さんか…
なんか今日は露骨だなぁ…
なんか今日は匂いが…
きつい…
「やはりそうですかね…」
「うむ、やはり山崎専務はすごいや、あの若さで専務まで駆け上がる訳だ…」
やはりサラリーマンも情報が一番なんだなぁ…
と、まるで他人事のように話してきた。
「そうなんですかねぇ…」
「ああ、今は、今は大人しく、粛々とこの新規事業をうまく行くように頑張っていき、山崎専務を足場にする、という方向に歩んだ方がよいと思うな…」
「ま、それはそうですけど…」
「うん、今はそれがいい…
今は足元をしっかり固め、寝首を掻かかれないように、周りを固めること…」
これが、今は、一番だと思うぞ…
大原本部長のその言葉が、何かが、この先にあるような想いを感じたのだが、今は確かにこれでいいのかも…
と、わたしもそう考えたのである。
「ところで…」
わたしにはもう一つの疑惑があったのだ。
言うか、言わまいか…
触れるか、触れまいか…
さっき遅れて出勤してきた大原本部長を、彼を、一目見た時から、話した瞬間から、感じている違和感があった。
わたしはじっと彼を見る。
「な、なんだ…」
そのわたしの目を見て、一瞬に彼は狼狽えた感じになったのだ。
ふうん、そうか…
「えっ、いや、別に…」
「………べ、別にって…」
彼は一気に挙動不審的な顔になる。
「いや、なんか…」
「うん…」
「そのネクタイ…が…」
「えっ…」
「ネクタイの趣味が…」
「佐々木室長っ、すいませーん…」
越前屋朋美さんがわたしを呼んできたのだ。
「あっ、はい、今行く…」
この越前屋さんの声掛けは、彼に、大原本部長とっては、実にいいタイミングであった。
それに周りにはこの準備室のメンバーがいるのだ、誰が訊いているかわからない。
とりあえず、今は止めておこう…
「本部長…
やっぱり…なんでもないです…」
「えっ、あ…」
大原本部長はこれだけで思い切り動揺の色を浮かべてきた。
そしてわたしは嫌味を込めた笑みを浮かべて一瞥し、越前屋さんの方へと向かったのだ。
ま、いいか…
今は…
そう思っているわたしの鼻腔には、甘いシャネルの残り香が感じられていたのである。
シャネルのお姉さんか…
なんか今日は露骨だなぁ…
なんか今日は匂いが…
きつい…