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シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング3      大原本部長と佐々木ゆかり部長
 57 一番の不思議

 笠原さん曰く、二つの太陽だしな…
 そんな笠原さんからの請負いの言葉が浮かんでくる。

「でもそうですよね、確かに正社員雇用になってまだ三日ですものね…」
 それまではただの派遣社員のオペレータースタッフだったもんなぁ…
 笠原さんもそう呟いたのだ。

「そうなんだよ、それまでの彼女の存在は本社側からも、生保側からも謎の存在の筈なんだよなぁ…」
 私は笠原さんに対して、すっかり昔の一緒に組んで仕事をしていた当時に戻っていた。

「でも大原くんが山崎専務に彼女の話しをしたんじゃないの…」
 笠原さんも私に釣られたのか、口調が昔に戻っていたのだ。

「いや、新たに正社員雇用した程度の話ししかしていないし、ましてや、コールセンター部にはしようと内心思っていただけで、とても主任になんか…」
 そう話す。

「ふうん、だとすると、本当にこのコールセンター部内部からかぁ…」
 それとも盗聴器か監視カメラが…
 と、笑いながら呟いた。

「いったい誰が彼女を、彼女の優秀さを知っているんだろう…」
 笠原さんは真剣に悩む。

 あ…

 まさか…

 まさかな…

 その時、突然、私の脳裏に二人の存在が閃き、浮かんだのだ。

 だが、山崎専務とは到底結び付かない…

 いや、あり得ない…

 私は却下し、その二人の存在は頭の中から消した。
 そして、やはり、この笠原主任ではない事が明白な事もよくわかったのだ。

 じゃあ、誰なのか…

「でも彼女の主任、楽しみだわ…」
 そう笠原さんが言う。

「本当に笠原さんは彼女の事を買ってるよね」
「ええ、彼女は本当に優秀だから…」
 それは私もよくわかっていた。

「例の、二つの太陽説だね…」
「ええ、そうよ、大原くんもいい部下を二人も持って、絶対にこれから大成功するからねぇ、楽しみだわ…」
 そんな嬉しい言葉を云ってくる。

「二つの太陽かぁ…」
 この前、この意味がわかったので思わずそう呟いたのだ。

「大原くんもこの意味よくわかったでしょう」
 思わず頷いた。

「でもさぁ、その蒼井さんを推した人もよくわかっているわよねぇ…」
 そうなのである、それが一番不思議なのであった。

 誰が、この僅か三日間で彼女の能力を評価したのであろうか…

 いや、知り得たのであろうか…

 疑惑は膨らむばかりである。



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