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シャイニーストッキング
第9章 絡まるストッキング3      大原本部長と佐々木ゆかり部長
 128 友達という言葉

「でもなぁ…」
 美冴さんは呟くように声に出す。

「えっ」
 わたしはその呟きに、一瞬、不安になった。

「でも、一緒に旅行に行ったら…
       夜、襲っちゃうかも…」
 蒼井美冴さんはそう、微笑みながらわたしに云ってきたのだ。
 
「それに…」

「恋バナって…
 本部長とのことよね…
 それは、あまり聞きたくないわぁ…」
 そう、笑いながら話してくる。
 そしてそれは素敵な笑顔であった。

 わたしはまた、再びその美冴さんの笑顔に魅了されてしまう…

「わたしももっと、ゆかりさんの、いや、ゆかりのこと…
 知りたいなぁ…
 昔の、そう、学生時代の頃とか…」

 学生時代…
 わたしの過去の消し去りたい黒歴史だ。

 でも…

 でもこの美冴さんになら、美冴になら…

 話してみたいかも…

「はい、じゃ、それはおいおいで…」

「うん、じゃあ、楽しみにしておくね…」
 美冴さんは再び魅惑的な目で頷いた。


 こうしてわたしと美冴さんは友達になった…

 いや、美冴さんに友達になって貰ったのである…

 台風接近の影響によるやや強い、生暖かい風が、サーッとわたし達二人の頬を撫でていく。

 この夜…

 わたしに…

 初めての友達ができたのである…




「じゃあ、また明日…
 あっ、これ、タクシーチケット…」
 わたし達はそのまま青山通りに出て、タクシーを拾った。

「あ、ありがとう、また明日です…
    あ、今度、電話しますね…」
 美冴さんはタクシーが走り出す間際に、そんな嬉しい言葉を云ってくれたのだ。

 今度、電話しますね…

 まさにわたしの切望していた想いの言葉であり、その言葉はジーンと心に染み込んできていた。
 そしてそんな感傷の想いに浸りながら、走り去る美冴さんの乗ったタクシーを見送り、続いてわたしもタクシーに乗る。

「とりあえず、羽田ランプ目指して…」
 そう運転手さんに告げた。
 わたしはまだ少し、さっきの余韻と新たな美冴さんからの告白に、ドキドキとザワザワが残っていたのだ。
 そしてわたしは改めて、別れ際前の、その美冴さんの告白を思い出していた。


「実は、わたしは……」
 
 美冴さんは話してくれた…




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