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シャイニーストッキング
第10章 絡まるストッキング4      和哉と美冴1
 29 5年前、あれから…(15)

 ガチャ…
 バタン…
「ただいま…」
 鍵を開け、ドアを閉め、和哉との花火大会からの逢瀬を終えて誰もいないマンションに帰宅した。
 すでに午前零時を過ぎていた。

 マンションの駐車場に旦那のクルマがないのは確認していたのだが、やっぱり帰っていなかった。

 今日から旦那はお盆休みの大型連休なのだ…


 わたし達は結婚して6年、わたしが26歳、旦那が30歳の歳に結婚をした。
 25歳の時に無理矢理連れていかれた合コンで旦那に見初められ、かなり口説かれ、約1年間の交際を経て結婚をしたのだ。
 旦那は某自動車メーカーの本社のシステムエンジニアであった。
 わたしも某大手旅行代理店の本社勤務で、結婚後も都内で共働きをしながら順調な結婚生活を送っていたのだ。
 旦那は一応長男であるが3つ上に姉がいる。
 結婚当初は別に実家云々はない…
 と、話していたし、実際に、実家の跡を継ぐとかの話題も全くなかった。
 そんなわたし達の都内での結婚生活では、まだまだわたしが仕事を続けていきたいとの希望もあり、また、旦那もそれに賛同してくれていたので、夫婦生活では避妊をしていた。

 そして今から2年前に転機が訪れたのだ。
 旦那に栄転の話しが来たのである。             
 それは本社直営の工場のシステムエンジニア主任の話しであった。
 そしてその工場は北関東の県庁所在地であるこの地方都市にあり、転勤をしなくてはならなかったのだ。
 また、その地方都市は旦那の実家のある地方都市でもあったのだ。
 しかし栄転なのである、そしてわたしも勿論会社勤めなのだ、だから男がその出世話しの栄転を断る理由はないのが痛いほどに分かっていた。
 だから、自分の仕事はその地方都市の支店に転勤というカタチをとり、旦那の栄転を受けこの地方都市に引っ越しをしてきたのである。
 しかし、この栄転は彼の実家に近いという新たな問題を生んだのだ。
 そして近くなった途端に、なにかとお姑さん、つまり義母が事ある度にわたし達の夫婦の間に割り込むように色々と関わり始めてきたのである。
 そして決まったかのように
『早く孫の顔が見たい』
 そんな騒動が起こり、すったもんだあった後に、とりあえずわたしが仕事を辞めて、妊活、つまりは子作りをする、という事で落ち着いたのである。



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