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シャイニーストッキング
第10章 絡まるストッキング4      和哉と美冴1
 33 5年前、あれから…(19)

 その時の、わたし達はまるで恋人同士の会話のようであった。

 ドキドキしていた…

「うん、和哉くん、大好き…」
 それは本音である。
 もう心は抑え切れない。

 先が見えない、儚くて、脆い、禁断、背徳等と、マイナスの言葉しか浮かばないような関係なのではあるが、もうそんな事はどうでもよいのである。 
 今が、明日が、わたしと和哉の二人さえ良ければそれでいいのである…
 と、わたしは開き直ったのだ。

 多分、わたし達の時間は余りないかもしれないから…
 


 次の日、朝から巨大な入道雲が目がくらやむような青空の北の端にもくもくと湧いており、むせ返るような気温になっていた。
 一応、旦那の部屋を覗いてみてもやはり帰宅はしていなかった。
 ふと、旦那の大きな実家が脳裏に浮かぶ。

 マザコンの彼は今頃、実家で楽しく過ごしているのだろう…
 そして久しぶりに旦那の部屋の掃除を始めると、ベッド脇からエロ本が数冊出てきたのだ。
 そしてゴミ箱の中には性処理した後のティッシュの山があった。

 やはり、自分でしてるのか…

 わたしの不妊症を知り、寝室を別にして抱かれなくなって約半年、まさか浮気はないだろうとは思ってはいたのだが
 自分で処理しているとは…
 ある程度は想像し、予想はしていたのだが、なるべく考えないようにはしていたのである。

 だが、そこまでわたしとしたくないのか、いや、抱きたくないのか…
 この大量のティッシュの量を見ると、そんな旦那の思いが一目瞭然に伝わってくるのだ。

 やはり、もうわたし達はダメないのかもしれない…
 そんな想いが湧き起こり、すっかり気持ちが落ち込んでしまう。

 ああ、和哉に…

 和哉に早く逢いたい…

 抱かれたい、抱きたい…

 愛されたい、愛したい…
 まるで付き合い初めの頃の恋人同士のような感情の、想いの昂ぶりを感じてしまっていたのである。

 そしてこの時、既に、わたしの感情はすっかり和哉に対する想いに依存してしまっていた。
 対極に和哉がいてくれたお陰で、冷静さがかろうじて保たれていたようなものであったのだ。

 まだ時間は正午…

 和哉のアルバイトは今日も午後4時迄であった。

 待ち遠しくてたまらない…






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