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シャイニーストッキング
第2章 黒いストッキングの女1
 31 きっかけ

 僅かに汗に濡れたワンレングスの髪。
 着崩れして乱れているシルク調のブラウス。
 溢れた蜜のせいでシミが広がっているスカート。
 そのスカートから伸びている妖しい光沢の艶を放つストッキングを穿いた美しい脚。
 そんな私にとってたまらない痴態といえる姿で、ゆかりは絶頂のあと気絶するように寝落ちしている。
 
 あんなに激しく興奮したから、きっと疲れてしまったんだろう…

 私の丸出しの下半身にしがみ付くように抱き付いて眠っている彼女の美しい痴態の姿を見ながらそう思っていた。
 そして彼女がなぜこんなにも興奮し、欲情したのかを探ろうと、今日一日をそれとなく思い返していく。

 『今夜も一緒にいたいの…』

 確か始まりは今日一緒に取ったランチのイタリアンレストランでの一言だった…

 私が例の黒い女を意識しているのを多分微妙に察知し、昨夜共にしたベッド上でチクりと嫌味を言ってきたのを誤魔化そうとランチに誘ったのだった、そして彼女はやり残していた仕事に少々手こずり遅いランチとなったのだ。
 イタリアワインを片手にそう突然言ってきた。
 その時の目が興奮と欲情に濡れた瞳をしていたのだ。

 多分、あれからだ…
 あれからあの目が始まったんだ…
 あの目を見た瞬間にゾクッとしたんだ…
 イタリアワインのほのかな酔いのせいなのか…


 そしてホテルの部屋に入るなり彼女は上着をかなぐり捨てて、私に抱きついてきたのだ。
 それからの場面ではずっと興奮と欲情に濡れた淫靡な輝きの目をしていたような気がする。

 とにかく今まであんな目をした、いや、あんな淫らな彼女を見たことがなかった…

 そんな彼女の痴態を思い返していると、少しだが下半身がムズムズと疼き出してきた。

 なんだぁ、私もまだ若いなぁ…
 少し嬉しくなる。

 カチャ、シュポ

 「ふうぅー…」
 ジッポーライターでマールボロに火を点け、煙草を吸う。

 「あ、ぁぁ、うぅん…」
 すると彼女が軽く寝返りを打ちながら目を開けた。
 でもその目の輝きは、いつもの彼女の穏やかな目の光りに戻っていた。

 なにがきっかけなんだろう、なんなんだろうか…

 「起こしちゃったか」
 「う…ん、この煙草の匂い…」
 「あ、臭いか、ごめん」
 
 「ううん、この匂い好き…」
 

    再びゾクッとした…


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