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シャイニーストッキング
第2章 黒いストッキングの女1
 32 至福の時間

 「ううん、この匂い…好き…」
 
 私は再びゾクっとした…
 そう言ったゆかりの目がまた妖しく光ったような気がしたのだ。

 ん、見間違いか、一瞬またあの目になったような気がしたんだが…

 「ふぁぁ、なんかノド渇いたしぃ、あぁー、お腹もすいたぁ」
 少し甘えた声でそう言ってきた。
 ベッドサイドの時計を見ると18時を少し過ぎている。
 
 「そうだなぁ、何か食べに行こうか」
 「うんっ、行くっ」
 そんな彼女と、さっきまでの妖しく淫らな痴態をみせた彼女との、激しいギャップ差がまた私には愛おしく感じてしまう。

 こんなゆかりが愛おしくてたまらない…

 「じゃあそうだなぁ、上の鉄板焼きにでも行って肉でも食おうか…」
 このホテルの最上階には、私が常連のバーの隣にまあまあの肉を食べさせてくれる鉄板焼きレストランがあるのだ。
 
 「うん、お肉食べたぁい」

 可愛くてたまらない…

 こんな姿を見れば見るほどに、先ほどのあの豹変した彼女の謎が、きっかけが、よけいに知りたくなってくる。

 なんなんだろうか…

 「じゃあ、さっとシャワー浴びてきちゃうね」
 「なんだ、今度はシャワー浴びるのか」
 「もう…バカ…」
 そうおどけながら、さっさと服を抜いてシャワールームに飛び込んでいった。

 「ふぅぅぅ…」
 私は二本目の煙草を吸いながら再び思い返すのだが、今の彼女とのやり取りのギャップ差に少し戸惑い、考えがまとまらなくなっていた。

 ま、いいか、きっとそのうちわかるだろうから…

 シャワールームから出てきた彼女と入れ替えに私もシャワーを浴びる。

 「ねぇ、まゆ毛描くだけのスッピンでもいい…」
 シャワールームから出ると、淡いブルーの花柄プリントのワンピースを着た彼女がそう言ってくる。

 やはり彼女は美しい…

 スッピンでも十分美しい彼女を見て心からそう思っていた。

 最上階の鉄板焼きレストランの夜景の見えるカウンター席に座り、私は生ビールを、彼女は白ワインベースのスプリッツアーでお互いの渇いたノドを潤した。
 彼女は基本的にワイン系を好むがアルコールには強くはない、私もどちらかといえば嗜む程度というやつだ。

 でもこうして愛おしい彼女と過ごすこの時間は私にはたまらなく愉しい、そして優しく心を融かしてくれる至福の時間といえる…

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