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シャイニーストッキング
第2章 黒いストッキングの女1
 35 フェチの本能

 あの黒い彼女を見る目と同じだ、やはりフェチはフェチなのか…
 
 わたしだけを見ていた訳じゃなかったのだ、部長の目はわたしも見るし、この女性スタッフも見るし、そして例の黒い女も見るのだ。
 隠していても彼が脚フェチ、ストッキングフェチであることはとっくの昔から知っている、だからいい女、脚の綺麗な女、自分のタイプの女、いや、極端な話しストッキングを穿いてさえいればいいのだろう、それに目がいき、興味を持てば凝視までする程だ、それがフェチの本能なのだろうということはある程度予想はつくし理解もできる。
 
 彼が、部長が、わたしを愛してくれているのは十分伝わってきているし、もちろん今のわたしも彼を大切に想っているし、愛している。
 わたしに向いているあのフェチな目の視線は確かにわたしへの愛の証しの一つなのには違いはないだろうが、他のフェチ的に興味が惹かれる女や、脚や、ストッキングにもフェチの本能でどうしても視線を向けてしまうのだろうと思う。
 だから、基本的にはわたしだけに向いていると思っていた彼の目の視線は、他に向けている視線と同じなのだ。
 ただ、比重的にはわたしに対する想いが一番だと思うし、そうあって欲しい。
 ただしフェチ的な目線としては同じなのだと思われるのだ。
 
 わたしを見る目も、あの黒い女を見る目も同じなのか、やはりフェチはフェチなのだ…

 でも、以前からあのフェチ的な目線に気づいていても今日程の興奮や、欲情を昂ぶらせたことはなかった、せいぜいザワつく程度であったのだ、それはなぜなんだろうか。
 そう思いを巡らせていると、わたしはある想いに気づいてしまった。

 そうなのか…

 その気づいたあることに愕然としてしまう。
 
 「ゆかり、どうした、なんか急に大人しくなったみたいだけど…」
 「えっ…」
 愕然としていたので、慌ててしまう、今のこの思いは悟られたくはなかった。

 「酔ったのか」
 「ううん、なんか、お腹いっぱいになって…」
 嘘である、とりあえず繕ったのだ。

 「そうなのか、じゃあ部屋に戻るか」
 「ううん、まだもう少し飲みたいな…」
 「じゃあ、隣のバーに行くか」

 わたしはもう少し飲みたかった、そして気づいて愕然としている思いを確認してみたかったのだ。

 ただそれにはお酒の酔いが必要な気がしていた…
 
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