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シャイニーストッキング
第10章 絡まるストッキング4      和哉と美冴1
 104 5年前、あの後…(11)

「きゃぁ、こんな少しなのにぃ、濡れちゃたわねぇ」
 
 朱美さんには確か3歳と5歳の子供が二人いるそうである、以前パート中に話していたのをチラと聞いていたのだ。
 だから朱美さんのクルマはワンボックスのファミリーカーであり、後部座席には子供のちょっとした玩具や、絵本、タオルケット等が置いてあった。

 クルマの外は、ザー、ゴー、と唸るような豪雨が降りしきり、そして時折、雷鳴も聞こえる程に荒れていた。
 
「うわぁ、すごい雨ねぇ…」
 朱美さんは不安な顔で運転を始める。

「きゃっ」
 すれ違うクルマがもの凄い水しぶきを上げて走り去っていく。
 ワイパーをフルマックスにしても見えにくい状況であった。

「あぁ、ヤバいわぁ、怖い…」
 朱美さんはそう小さく呟き、通り沿いにある家電量販店の駐車場にクルマを停めた。

「和哉くぅん、ごめん、少し…」
 とても運転できる雨ではなかった。

「あ、全然大丈夫ですよ、用事もないし」
「本当ぉ、じゃあよかったわぁ」
「はい…」

 ゴー、ジャバ、ジャバ…

 外の様子が見えない程に、唸りを上げて豪雨が降り注いでいた。
 そして時折、遠くで雷鳴も鳴り響く。

「ああ、怖いわぁ…
 よかったぁ、和哉くんが一緒でぇ…」
 朱美さんは本当に恐そうな顔をしていた。
 僕はそんな朱美さんの顔を意外な想いで見る。

 美冴さんとはまるで真逆だ…

 身長は150ちょっと位か、美冴さんは確か160位だった…
 目がクリっとした丸顔のどちらといえばタヌキ顔、愛嬌のある顔をしている…
 そして決して太ってはいないが柔らかそうなカラダのラインをしている…

「やだぁ、和哉くぅん、何を見てるのよぉ…」

「あ、いや、あの…」
 男に対する自意識はかなり高めで、僕の視線に直ぐに気づいたようであった。

「もぉ、恥ずかしいからぁ…」
 言葉とは真逆で嬉しそうである。

「和哉くんてぇ、ここ最近でぇ、急に変わったわよねぇ」

「え、そうですかぁ」
 この前から朱美さんはよくそう言ってきていた。

「やっぱりぃ、彼女ぉ…」

「いえ彼女いませんから…」

「えぇそおなのぉ…」
 僕は黙って頷いた。

「じゃ、なんでかなぁ、美冴さんともぉ、よく話してたのよぉ…」

「えっ、美冴さんとも…」

 美冴さんとも話していたのか…


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