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シャイニーストッキング
第2章 黒いストッキングの女1
 48 男の魅力

 それは聞かないで…

 必要以上の余計な詮索はしてこない、わたしはそんな大人な彼も大好きなのだ…

 カシャッ、シュポッ
 拡がる煙草の匂い。

 大好きな煙草の香り…

 その香りに包まれながら腕枕で胸元に抱かれ、ふと色々と思い返していく。

 今朝わたしが先に出かける時に土曜日だから黒い彼女は出勤していない、と、わざわざ遠回しに嫌味を込めて言ったのに、出社した時にチラっと一瞬オペレーションルームを目で見回したのだ。
 その一瞬の目の動きを見逃さなかった、そしてそのことに嫉妬した。
 それが今日のわたしの淫れのきっかけであり、あれからこうまで自分を抑えきれずに揺れ動いているのだ。

 原因は全て理解できた、嫉妬なのだ、だけどどうすればいいのかわからない、なぜなら彼はただほんの一瞬、見るだけなのだ、何をする、何をしようというわけでもない、ただ見ているだけなのだ。
 そんな目の動きは止めようがないし、あまりにもくだらないその理由を彼に説明するわけにもいかない、それはわたしのプライドが許さない。

 わたしがただ我慢すればいいだけ
 それを気にしなければいいだけ
 それらを無視すればいいだけなのだ
 今、このわたしを抱いてくれてる彼を失いたくはない、無くしたくはない、もっともっと愛したいし愛されたいのだ
 大切な男なのだ
 大丈夫だ
 わたしがあの黒い彼女より劣っていることはない、負けるはずがない
 そしてそもそも、ただ見ているだけなのだから…

 再びザワザワと胸が締め付けられる想いがしてきていた。
 わたしは今までこんなに男を愛していると思ったことがない、だからこの嫉妬心による胸のザワつきが理解できないし、整理がつけられないでいた。

 唯一、電撃的に結婚したアイツにもこんな想いは持ったことはなかった、だからあんなことで浮気をし、わたしを陥しめようとしたことにもただ呆れただけであったのだ。
 たまたまダイビングという趣味が合って意気投合し、そしてアイツの親が議員だというバックボーンに惹かれ、利害が一致しただけの電撃的な結婚であり、アイツの男としての人間性に惹かれた訳ではなかった。
 というか、今までのわたしには人間性で惹かれた男は皆無であった、唯一その男の魅力という人間性に惹かれたのは彼、大原部長だけなのだ。

 彼を愛しているのだ…
 

 
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