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胡蝶の夢
第8章 夢
部屋に戻った僕はベットに仰向けに倒れ込んで、ぼんやりと天井を見上げた。
ただただ真っ白なだけの天井に手を伸ばす。
僕は彼女に何を求めた?
兄を裏切らせるために利用するつもりだった。
それなのに途中から目的がすり替わっていた。
その目的というものが何だったのか、今はもう思い出せない。
思い出せないけれどソレは何かとても大きくて、破裂しそうな思いだった気がする。
僕は変だ。
おかしくなっている。
感情の制御が効かない。
多面体の物体がころりころりと転がる様に、感情が次々に転がっていく。
憎しんだり、悲しんだり、喜んだり、妬んだり。
たまに訪れる虚無のような冷静。
暴走する自分の感情に驚いている自分がいる。
もう本当に…、人間として欠陥品な気がする。
捨てられるのに相応しいゴミになった気がする。
もう、このまま…。
天井に伸ばしたその手をそのまま自分の首に持っていく。
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