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胡蝶の夢
第8章 夢
「うぐっ……」
ぎりぎりと自分の指が肌に埋まって締めつけていく。
なにもかもを壊したい。
自分さえも。
――…チリリン
「かはぁっ……はっ、ははははは…」
突然聞こえたベルの音に力が弛んで空気を得た僕ののどが、まず初めに発したのは笑い声だった。
「あはははははは」
タイミングが悪い。
あれからどれくらいの時間が経っているのだろうか?
黒崎の妹はあの後どうしただろうか?
あの惨状はどうなっただろうか?
誰かが片づけただろうか?
黒崎にバレやしないだろうか?
もうどうだっていい。
よろよろと立ちあがる。
そして床に跪いた。
アイツが来る……。
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