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胡蝶の夢
第8章  夢 





鮮明になっていく意識が鋭利に尖る。


ベットの上に組み敷かれ脚を持ち上げられて、なんとも無様に繋がったまま僕は意識を失ったらしい。


僕をいっぱいに広げて刺し貫く彼が奥で熱を帯びている。



「死んだ奴の名なんて呼ぶな…」



黒崎の瞳がじっとこちらに向けられる。


何を伝えたくてこんなにも僕を見るのだろう。



「あいつの名を呼ぶな、思い出したくもない…」



なんて顔をするんだ。


人を殺しておきながら。


圭の最期の顔が浮かぶ。


お別れの時まで優しい笑顔だった。


助けを呼びに行かせなかったのが義弟の犯行を隠すためだとしたら、あの笑顔は満足した顔だったんだろうか?


自分を殺した相手をかばうなんてとんだお人好しだ。


……馬鹿。










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