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胡蝶の夢
第9章 華

「うるさい…」
「はい、そう思って頂いてかまいません」
じっと寛継を観察する。
顔色一つ変えていない。
突き放そうとしても柳みたいにしなとかわす。
コイツは強い奴だ。
圭のように俺の言葉ひとつひとつに傷ついた顔を見せない。
保護されて育った圭と使用人のこれが違いか。
…なんでさっきから比較の対象に圭が出てくる?
俺はよっぽどアイツに引け目を感じているみたいだ。
「勝手にしろと言わなくてもどうせ勝手にするんだろ」
「はい、私は自分のしたいようにしているだけですから。直弥様が私を解任しない限り、勝手に仕えさせていただきます」
「……」
「じゃあ、今すぐ解任だ」と買い言葉で言う事は俺には出来なかった。
どんなに煩わしく思っても、どこかで求めている。
本当は自分の事を肯定してくれる存在が欲しいと。
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