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胡蝶の夢
第9章 華

「…本当に志願したの?」
「はい、快く承諾していただきました」
馬鹿な奴だ。
いつだったか、「直弥様にお仕えしたい」だのなんだのと言っていたが、本気だったのか。
「圭という有力な後継者がいるのに、出世の望みも無いハズレくじにご苦労なことだね。親父は俺に何の興味も感心も無いんだから、俺に仕える事にメリットなんて無いよ。むしろ、周りの奴らの反感を買うだけさ」
「ご自分の事をそんな風におっしゃらないで下さい」
それなのに寛継は俺に真剣な目を向ける。
そうか、コイツもだ。
俺がコイツをこんなに鬱陶しいと思うのは、寛継が圭の様に自分には無い何か眩しいものを持っているからだ。
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