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胡蝶の夢
第4章 檻

はぁ…
深呼吸が体に酸素を行き渡らせる。
そういえば…。
あの子はどうしただろう?
女の子を助けたはずだ。
道に迷ったのか、あろうことか『ここ』に迷い込むなんて…。
危なくアイツに見つかるところだった。
黒崎に捕らえられていたならば、もしかしたら昨晩の淫行は彼女に降りかかっていたかも知れない。
どうしても妹の影が重なる髪の長いあの女の子。
僕は昨日、2人の女の子を助けた。
大切な可愛い僕の妹と迷子の女の子を同時に助けた。
自らが身代わりとなって助けた…。
そうとでも思わないと、自分を保てない。
唯一残った僕の自尊心の一欠片なのだ。
すがる様に彼女の存在を思い出す。
あの淫らな行為にさえ意味があるとするならば、彼女を助けられた事だ。
這いずってクローゼットに進んで行く。
唯一の希望。
扉にそっと手をかけ、そして…開けた。
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