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胡蝶の夢
第4章 檻
そう決意したまさにその時、扉のロックが外れる音がした。
ガチャッ
扉の向こうに誰かの気配がする。
薄く扉が開いた。
ギィィィ
軋む音がする。
どおりで蹴破れないはずだ。
20cmはあろうかという厚い扉。
そっと息をひそめてベッドの影に隠れ、様子を窺った。
ゆっくりゆっくりと扉の向こう側が露わになる。
スッと白い両腕が中へ差し出された。
その手には黒い箱があり、それを床に置くと白い腕は役目を終えて引っ込んだ。
やがて扉が閉まっても錠のかかる音はしない。
開けっ放しになっているのか?
そろりと扉に近付いた。
黒い箱は白い部屋の中で一点だけ異質だ。
白いシルクの上に落としたインクのシミのように、禍々しいほどにその存在を主張している。
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