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胡蝶の夢
第4章 檻
ギィィィィ
扉はすんなりと開いた。
やはり、鍵は外れたままになっている。
扉の向こう側には長い廊下が続いていたが、そこには誰一人の影もない。
先程の腕の正体は?
僕はそのまま駆け出ていく。
奥に見えるもうひとつの扉まで、暗い廊下をもろともせずに進んでいく。
その扉の向こう側には…。
女の子がいた。
白いワンピースの姿が眩く映える。
やっぱり、彼女は幻なんかじゃ無かった。
確かにあの日、僕は女の子を助けたんだ。
「ごめんなさい…」
彼女は呟いた。
「私…、私っ…」
わぁっと顔を覆い、突然彼女は蹲る。
「『貴方を嵌めました』…だろう?」
忌々しい声に身体がびくりと反応する。
蹲る彼女の背中に影が落ちた。
彼女の背後に誰かが立っている。
「逃げ出そうとするとはね…。まぁ、予想通りだけど…」
ニタリと笑う顔。
そこには黒崎が立っていた。
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