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胡蝶の夢
第4章 檻
屠殺される豚の断末魔の声の様な聞き苦しい音が、自分の喉の奥から聞こえる。
吸気が押し潰されて震える音だ。
目の前が歪んでいく。
無意識に涙が伝う。
散々見苦しく足掻いたあげく、終わりは呆気なく途切れた。
意識を掠め取られ、一瞬のうちに。
最後の僕は手を伸ばしていたと思う。
頼りのない僕の希望に向けて。
けれど唯一希望の彼女は僕と目が合った途端に弾かれた様に視線を下げた。
もう目さえ合わせてもらえない。
あぁ、ここに僕の味方なんていない。
そんなの解りきっていた事なのに、一度手に握らされた希望は僕を蝕んでいた。
裏切られる希望なら最初から無い方が良い。
希望を持った人間しかその絶望の深さを知らないから。
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