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胡蝶の夢
第6章 腐蝕
今すぐ消えてしまいたい。
人間として一番大切なものを失った気がする。
薄い膜の向こう側で、もう一人の僕が苦しみながら言った。
『消えたい』と。
恥辱の毒に蝕まれては生きられないから。
耐えられないから。
恥を晒すくらいなら…。
いっそ…。
ふざけた事を…。
何を甘えている。
僕を窘める僕。
ならばさっさと消えてしまえ。
必要じゃないお前など要らない。
淘汰されるべきだ。
わかっていたことじゃないか。
最初から『不必要』だったんだ。
最初から『ゴミ』だったんだよ。
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