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胡蝶の夢
第6章 腐蝕
滑稽だ。
何もかも…。
世界は冷酷に出来ている。
浴びせかけられる高らかな笑い声、罵詈雑言、その全てが滑稽。
軋む身体も、洩れる嗚咽も、悲鳴も、自分の身体だという自覚が奪われた様に空々しい。
意識とは無関係な所で身体が変わっていく。
指先一本の動きまでも操られているような錯覚。
…嫌だ。
飼い殺されてたまるか。
沸々と沸き上がる黒い感情が溶岩の様に身体の上を這って滑っていく。
いいなりになってたまるか。
燻っていた焔が一気に燃え盛る様に変質していく。
僕には味方などいない。
もう…いない。
ならば、全員喰い殺せ。
守る者など何も無いのなら怖いものなどない。
すべてを貶めろ。
すべてを壊せ。
僕を守れるのは僕だけだ。
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